虐待児童にセラピー犬 日進の療育施設導入

中日新聞 2014年1月14日

 日進市岩崎町の児童心理療育施設「わかば館」が、虐待を受け心理的治療が必要な児童に、犬を使ったアニマルセラピー(動物介在療法)を導入。つらい記憶がよみがえるフラッシュバックや人への愛着形成に苦しむ子たちの心を、穏やかな犬の存在が落ち着かせる効果などがあることが証明された。
 児童心理療育施設でのアニマルセラピーの効果の本格的な検証は全国で初めてといい、わかば館は昨年末、長野県松本市であった日本子ども虐待防止学会学術集会で成果を発表した。
 同館には虐待されたつらさから、自分の中につくった別人格にその記憶を背負わせたり、一時的に記憶が飛んだりする解離性障害がある子どもたちが生活している。
 相手を攻撃することで注意を引こうとする傾向もあり、普段は定期的に専門職員との心理療法を続けている。だが、ふとしたことで職員が虐待していた親などと重なりパニックになる。それが壁となって、適切な人間関係や愛着の形成に時間がかかる。
 アニマルセラピーは試験的に、こうした症状が重い小学生の女児三人が受けた。兵庫教育大准教授の臨床心理士、海野千畝子さんの協力のもと、二〇一二年二月~一三年三月に実施。人になつきやすく、かみついたりほえたりすることがなく、カナダの動物養成施設で適性が認められた十三歳の雄のシーズー犬「トムトム」が加わった。
 女児たちは個人とグループのプログラムを計十五回受けた。個人プログラムでは、生まれてから現在までの出来事を順を追って振り返った。話が虐待された時期に及ぶと気持ちは不安定になるが、そばで穏やかに座る犬を見たり抱いたりして、ぬくもりを感じ気持ちを落ち着かせた。また、優しく歩み寄ることで触れ合いを受け入れる犬の存在を通じ、徐々に人との距離感を学ぶこともできた。
 セラピー実施後は、三人とも他の子と比べて症状が緩和。八歳の女児は急に記憶が飛ぶことが減り、言葉遣いも素直になり、「優しい人になりたい」と話すようになった。
 わかば館指導課長の石垣儀郎さん(名古屋学芸大非常勤講師)は「虐待を受けた子は逃げるか戦うかの生活の中で育ち、大人に不信感を持っている。悪意のない温かい犬が応えてくれることで、心の回復に必要な健康的なぬくもりを得られた」と話す。
 検証終了後に新たなセラピー犬が見つからないこともあり、現在、この療法は中断。ただ効果が認められたため、引き続き犬を探し、他の子も受けられるよう検討している。
(並木智子)

無断送信ソフト、「入れた覚えない」と職員当惑

読売新聞  1月13日

 情報を外部に無断送信してしまうソフトが、1000台以上の自治体のパソコンで使われていた。中国検索大手「百度(バイドゥ)」製の日本語入力ソフト「バイドゥIME」。
 その多くは、バンドル商法と呼ばれる無料ソフトとの「抱き合わせ」で配布され、職員らは気づかないままインストールしていたという。専門家からは「大切な住民情報を扱う以上、情報漏えいを防ぐ仕組みが必要ではないか」との声が出ている。

バンドル
 調査対象の67自治体中、最多の272台からバイドゥIMEが見つかった横浜市。市の全672課のうち167課、市立学校512校のうち48校にのぼる。「職員の誰もが『入れた覚えはない』と言うのだが……」とIT活用推進課の担当者は首をひねる。
 ネット上の無料ソフト配布では、最初のダウンロード画面では一つのソフト名しか書かれていないのに、実際には複数のソフトがセットになっていることが多い。このため、「目的とは違うソフトが知らないうちに入ってしまったのでは」と担当者はみる。
 「『バンドル商法』とも呼ばれる、こうした抱き合わせ配布は無料ソフト業界では一種の慣行」とソフト開発業者は説明。「ダウンロード数が増えれば広告収益も増やせる。多くの業者は手数料を払ってセット配布してもらっている」と明かす。1インストール当たり10~50円が相場という。
 だが、ある無料ソフトの配布サイト運営者は最近の過度なバンドルを懸念する。「一つのソフトを入れようとすると、5、6種類のソフトがついてくる例も目立つ」。さらに、「告知せずに取り込ませる『ブラインドインストール』という手口もある」と打ち明ける。

有名ソフトも
 有名ソフトもバイドゥIMEをバンドルしていた。
 岩手県の場合、動画再生の無償ソフト「リアルプレーヤー」をインストールした際にバイドゥIMEを入れてしまったという。配布元のリアルネットワークス(東京)は今月8日からバイドゥIMEとのバンドルを中止。ワープロソフトなどを手がけるキングソフト(東京)も2011年6月から約1年半、バイドゥIMEを抱き合わせで配布し、岡山県のパソコンで一緒にインストールされた。
 インストールの際にはバイドゥIMEが入ることは画面で説明されるが、職員は漫然とクリックを続けてしまったとみられる。

ルール未整備
 無料ソフトのインストールについて、地方自治体向けの総務省の指針では「業務上必要な場合は、管理者の許可を得て導入できる」とされている。だが許可するのは各部署の所属長で、セキュリティーの知識が乏しいことも想定される。
 また指針は、パソコンに最初から入っているソフトについては触れていない。新潟県が購入した中国のレノボ社製のパソコンには、最初からバイドゥIMEが組み込まれていたが、チェックする仕組みはなかった。
 レノボ・ジャパン(東京)によると、一部のパソコンにバイドゥIMEを標準装備したのは11年秋の出荷分以降。法人向けのパソコンには入れていないが、安価なユーザー向け製品を購入する企業や公的機関は増えているとみられる。
 NPO法人・情報セキュリティ研究所の臼井義美代表理事の話「何がパソコンに取り込まれるのか分かりにくいまま配布するのは消費者を欺く行為ともいえ、表示に一定のルールが必要ではないか。難しいかもしれないが、安全に無料ソフトをダウンロードできるサイトに公的機関がお墨付きを与えるなどの仕組みも、検討する必要がある」

*バンドル商法=ある製品に別の製品を付属させて販売・配布する方法。人気商品に不人気商品を付けて有償で提供する行為などは独占禁止法で禁じる「抱き合わせ販売」にあたり、マイクロソフトが表計算ソフトにワープロソフトを付けて販売したとして、1998年に公正取引委員会が排除勧告した。バンドルは英語で「包む」「束ねる」の意味。

分かりやすく解説しているページがありましたので紹介します。

[迷惑] Baidu IMEをアンインストール・削除する方法

[迷惑] hao123がアンインストールできない!? 削除する方法はこちら。

コントロールパネル→プログラムの追加と削除または、プログラムと機能

このリストの中に、不明なプログラムがあれば、アンインストールして下さい。

遺族年金 主婦死亡でも支給 厚労省、対象外から転換

東京新聞 2014年1月10日

 厚生労働省は九日、四月から父子家庭にも対象を広げる遺族基礎年金の制度見直しで、専業主婦の妻が亡くなった場合でも支給する方針を決めた。家計を支える役割を担っていないとして、当初は対象から外す方向で検討していたが、批判を浴びて方針を転換した。
 同制度は現在、夫を亡くした母子家庭に支給している。共働き夫婦が増えていることから、夫の年収が八百五十万円未満であれば、妻と死別した父子家庭を対象に加えることにした。
 これに合わせ、厚労省は支給要件を改める政令案を検討。死亡した妻が自営業や会社員などの場合に支給を限定し、専業主婦など配偶者に扶養されている「第三号被保険者」が死亡しても不支給とする内容を昨年まとめ、一般の意見を募った。
 だが「三号」には専業主婦だけでなく男性も約十一万人含まれ、政令案の通りだと、これまで受給できていた人が対象外になるケースがある。リストラなどで一時的に妻に扶養されていた夫が亡くなると、現在は遺族基礎年金に加え、条件を満たせば遺族厚生年金も受け取れるが、一切支給されなくなる。
 意見募集でもこの点に反対意見が多く、厚労省は政令案の閣議決定を断念した。
 父子家庭への支給拡大で、厚労省は新たな対象者を将来的に二万人程度と見込む。スタートする二〇一四年度は二千人程度と推計し、当初予算案には十億円を計上した。専業主婦死亡時の支給は想定していなかったが「予算変更の必要はない」としている。
 同省は専業主婦の遺族に対する支給が妥当かどうか、あらためて一四年度中にも議論し、必要なら法改正を図る考えだ。
<遺族年金> 世帯の生計維持者が死亡した場合に遺族の所得を保障する仕組み。遺族基礎年金は(1)子ども(原則18歳の年度末まで)のいる妻か(2)子ども(同)が支給対象で、2012年度末で約11万人が受給。支給額は現在、子ども1人がいる妻では年101万2800円。子どもの人数に応じ加算がある。遺族基礎年金は子どものいない妻は対象外だが、遺族厚生年金は子どものいない妻にも支給。妻の死亡時に55歳以上だった夫に60歳から支給する規定もある。遺族共済年金も同様だ。