LINEで売春仲介 容疑で男4人を逮捕

神戸新聞NEXT 2014年3月6日

 スマートフォン向け無料通信アプリのLINE(ライン)を使って売春をあっせんしたとして、兵庫県警少年育成課と長田署などは5日までに、児童福祉法違反(淫行させる行為)や児童買春・ポルノ禁止法違反(周旋)などの疑いで、神戸市須磨区若草町2の無職中屋崇志容疑者(21)=同罪などで起訴=ら4人を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。
 ほかに逮捕されたのは、同市灘区友田町3の会社員長谷川洋容疑者(22)=同罪などで起訴▽名古屋市中区の飲食店店員吉武直人容疑者(22)▽尼崎市の無職少年(18)=同容疑などで家裁送致。
 4人の逮捕容疑は昨年9月、岡山市内のホテルで、神戸市内の中学2年の女子生徒(14)を18歳未満と知りながら、広島県福山市の男(42)=児童買春・ポルノ禁止法違反罪で起訴=に紹介し、売春させた疑い。いずれも容疑を認めているという。
 捜査関係者によると、4人は女子生徒を装い、連絡先としてLINEのIDを示して「円(援助交際の隠語)しませんか」とのメッセージを掲示板アプリに掲載して客を募集。連絡してきた男とLINEでやり取りし、女子生徒が待つホテルに向かわせたという。
 4人は知人同士で、昨年3~11月、知り合いの少女や20代前半の女性ら15人を客に紹介し、数百万円を稼いでいたとみられる。

 【無料通信アプリのID】電話番号やメールアドレスが分からなくても、IDを検索すれば相手と連絡が取れる。警察庁によると、LINEなどのIDをネットで交換し、淫行などの被害に遭った18歳未満の子どもは昨年1年間で352人に上り、過去最多だった。LINEは昨年9月、18歳未満のID検索利用を停止した。

神奈川・湯河原の中2男子自殺 いじめとの関連認める 第三者委が報告書

産経新聞 2014年3月5日

 神奈川県湯河原町で昨年4月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、第三者委員会は4日、「いじめと自殺との間には関連性が認められる」と認定する調査報告書を公表した。報告書では、「正義感があり、優しかった」という生徒が自殺に至った心理状況を分析したほか、町教委や学校側の問題点についても言及した。5日には保護者向け説明会も開催する。

徐々にエスカレート
 報告書によると、生徒へのいじめは中学入学当初から始まった。生徒は部活動や学校生活全般で複数の同級生から暴力や嫌がらせを受け、自殺までの約1年間続いた。
 特に7月からは「紙を丸めた棒でたたかれる」「『きもい(気持ち悪い)』と言われる」など徐々にエスカレートし、冬休み前後からは毎日のように繰り返された。第三者委は「心身に与えた苦痛は相当なものだった」と指摘し、自殺との関連性を認めた。
 遺族からの聞き取りも行い、生徒が自殺に至った心理状況も分析。自殺時に見つかったメモには「誰も僕の心をわかってくれない さよなら」と書かれていたが、加害者への怒りや憤りは記載されていなかった。
 生徒持ち前の「正義感や生真面目さ」も考慮し、メモの意味を「単にいじめへの苦悩や不安のみでなく、自分の力で解決できないことに苦しんでいることすらも伝えずにいる自分を暗に大人たちに理解してほしかった」と推察した。

なぜ気付かず
 いじめが長期にわたっていたにもかかわらず、なぜ学校はいじめを見過ごしてしまったのか。
 自殺発生後の校内アンケートでは、いじめの事実が多数明らかになったが、教員や生徒は誰も通報や指摘をしていなかった。第三者委は「中学校としていじめに対する明確な共通認識がなく、理解不足だった」と批判した。
 生徒は担任に提出する自己紹介カードの裏面に「たまには悩みを聞いてください」と書いていたほか、部活動からの帰宅が遅れ保護者から学校に電話が入るなど、学校側がいじめに気付く機会はあった。こうした点から第三者委は「学校側が丁寧に対応していれば、未然に防げた可能性もあった」と指摘した。
 また、学校が定期的に実施していたいじめに関するアンケートを1年間の保管期間を守らず、破棄していたことも判明。学校のいじめに対する取り組み姿勢にも疑問を投げかけた。

学校に主体性なし
 自殺発生後、同校はアンケートを実施し、すぐに調査を始めた。しかし、第三者委は、その内容が加害生徒への調査に終始してしまったことを問題視。アンケートで約2割の生徒がいじめを指摘したにもかかわらず、なぜ生徒が目撃した時点で教員に伝えなかったのかについての検証が十分ではなく、再発防止につなげられていないと指摘した。
 また、学校側が町教委などで組織する支援対策本部に対応を実質的に委ねたことで、学校の主体性が失われ、在校生への指導も不十分なままだとしている。今後の取り組みについて「個々が主体的に考え判断する力を身につける教育を行うこと」などを提言した。
 第三者委は臨床心理士や弁護士らで構成。委員長を務めた県立保健福祉大学の小林正稔教授は会見で、「間違っていることを指摘して正すことだけが教育という誤った認識が学校にはびこっていたのではないか。本当に大事なのは日常的に子供と話をして、大人と子供が関係をつくっていくことだ」と述べた。
 このいじめをめぐっては、県警が昨年6月、生徒をたたいたとして、同級生の少年3人を暴行の非行事実で児童相談所に送致。3人はその後、横浜家裁小田原支部での審判を経て、最終的に児相所長送致が決定している。横浜家裁によると、児相所長送致となった少年は、訓戒や誓約書の提出、児童福祉司による指導といった措置を受けるという。

柏の連続通り魔:取材に「犯人は笑いながら…」と容疑者

毎日新聞 2014年03月06日

 竹井容疑者は4日夜、事件現場からわずか約20メートルの場所にある自宅マンション前で、毎日新聞などの取材に約40分間、事件の一部始終を目撃したなどと説明していた。「犯人は笑いながら、何度も背中を刺した。その様子をスマートフォンで動画撮影した」とも話していた。
 竹井容疑者は午後8時半ごろから集まっていた記者に対し、3日深夜に大声を聞き4階の自室のドアを開けて廊下に出たところ、事件を目撃したと説明。「暗闇の中で光ったので刃物だと分かった」などと述べ、刃体の長さについても両手を広げて「これぐらい、30〜40センチはあった。牛刀のようだったが、柄の部分は見えなかった」などと語っていた。
 容疑者の特徴を「身長は約175センチで黒色ジャンパー姿。太ってもやせてもいない」と話し、1階に住んでいた池間さんについては「面識はない。同じマンションの住人が刺されるなんて分からなかった」としていた。
 さらに、犯行開始時から車を奪って逃走するまでの様子を動画で撮影したと説明。「動画は警察に渡したがSDカードにコピーを保存している」と話したため、記者が確認を求めると「警察に止められているから」と拒んだ。その上で「僕も早く(容疑者が)捕まってほしいと思っている。警察が明日公開するはず」と語っていた。
 竹井容疑者は首のあたりまで伸びた髪を茶色に染め、黒っぽい上着姿。「ハッハッハと奇声を発し、笑いながら刺した」と異常性を強調し、「見境無く襲いかかるのは怖い」などと話した。
 その後も終始表情を変えずに質問に答えていたが、顔を撮影されることは嫌がり、「放送する時は声も変えて」と求めた。「きょうは警察で事件の状況を説明してきた。明日も呼ばれている」とも語っていた。
 また、現場で取材していた別の記者によると、当初事件について「寝ていたから知らない」と答えていたが、しばらくすると「動画を持っているけど買わないか」などと持ちかけてきたという。【小泉大士】

食物アレルギー

西日本新聞 2014年3月5日

 卵、乳製品、小麦、甲殻類、そば、ピーナツなど特定の食べ物を食べたり、触れたりすると、免疫機能が過剰に反応して有害な症状が起きる。じんましんをはじめとする皮膚症状、下痢、呼吸困難などさまざまな症状が出る。血圧低下や意識障害など重篤な「アナフィラキシーショック」が起きた場合は、血圧を上げるホルモン「アドレナリン」の自己注射薬「エピペン」(商品名)を30分以内に打つことが求められる。

 食物アレルギー 入学に備えは 食材、発症形態 学校に伝えて 管理指導表提出を
 入学シーズンが近づいてきた。食物アレルギーのある子どもと親にとって、学校給食は大きな心配事。誤食事故を防ぐには、原因食材を口にしないよう徹底することに尽きる。原因食材を取り除いた給食を提供するなど学校側も対策に本腰を入れる中、保護者の協力も大きな盾になる。 
 2月下旬、西花畑小学校(福岡市南区)の体育館。4月から新1年生になる子の保護者約150人を対象にした学校説明会で、給食の食物アレルギー相談コーナーに人だかりができた。
 「保育所の給食では油揚げを取り除いてくれた。小学校はどうですか」「(ショック時に使用する自己注射の)エピペンを学校で預かってくれますか」
 身を乗り出す親たちを前に栄養教諭が優しく語りかける。「情報がないと私たちも対応のしようがありません。入学前にぜひ面談させてください」
 福岡市の小学校給食ではアレルギー症状を引き起こす食材を外した「除去食」を提供しているが、森宏介校長は「誰が何を食べられないか。新入生が入り、教職員も入れ替わる年度初めに情報を共有しないといけない」と気を引き締める。

 文部科学省が昨年8月、小中高約2万9千校に通う1015万人を対象に行った調査では、卵や牛乳などの食物アレルギーがある児童生徒は4・5%にあたる45万3962人に上った。22人に1人の割合だ。
 東京都調布市の小学校で2012年12月、乳製品にアレルギーがあった小学5年の女児が粉チーズ入りのチヂミを誤食してショック死。保護者の関心が高まった。何種類もの除去を求めるケースもあるが、成長に伴って食物アレルギーが治る場合もあり、成長期の栄養バランスが偏ることになりかねない。
 文科省のガイドラインは、医師の診断に基づき、食べられない食材や発症形態を詳細に記す「学校生活管理指導表」を保護者に提出させるよう求めている。福岡市教委健康教育課の田中浩美係長は「指導表が事故を未然に防ぐ基礎になる。毎年1度は受診して提出してほしい」と注文する。

 とはいえ、文科省によると、食物アレルギーがある子の2割強しか指導表を提出していない。呼吸困難や意識低下などアナフィラキシーショックを起こす子でも4割弱にとどまる。
 全国で給食を提供する小中学校の約50分の1を抽出した文科省調査では、12年度に40件の誤食が起きていた。単純計算で2千件近い事故が起きていることになる。細心の注意を払ってもゼロにするのは難しい。
 学校給食でのアレルギー対応に関する文科省の有識者会議で座長を務めた福岡女学院看護大の西間三馨(さんけい)学長は「管理指導表の提出率が低いと学校側も的確な対応が取りにくい。食物アレルギーが重い子にエネルギーを集中するためにも、保護者は学校を支援してほしい」と指摘する。

増える震災関連自殺 電話相談1万2638件…「死にたいほどつらい」

産経新聞 2014年03月05日

 24歳の若者は昨年1月、自ら命を絶った。
 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県富岡町の出身だった。電力関係の会社勤務のため借りていた相馬市のアパートで独り、首にひもをかけた。
 「遺書はあったが、それだけでは理由は分からなかった。とにかく、理由が分からないんです」
 若者の父親は、沈痛な面持ちで話した。
 浪江町から避難する自営業の男性(68)は今も、一昨年5月に自殺した商店街の仲間をしのぶ。長年スーパーを経営していた仲間は避難先から一時帰宅した際、倉庫で亡くなっていた。62歳。「生きていても仕方ない」「夜よく眠れない」と話していた。男性は「まじめな人だった」と、うなだれた。
 内閣府によると、昨年1年間に東日本大震災や原発事故との関連で自殺した「震災関連自殺」は、被災3県で前年より13人多い37人。岩手4人(4人減)、宮城10人(7人増)、福島23人(10人増)だった。
 とりわけ、福島での自殺者は毎年増えている。

電話相談1万2638件
 「死にたいほどのつらい気持ちを聞いてほしい…」
 一般社団法人「社会的包摂サポートセンター」(東京)が24時間無料、匿名で受け付ける電話相談「よりそいホットライン」。被災3県から今年1月にかかってきた電話で、生活相談や女性相談など5つの分野のうち、自殺に関する相談は1万2638件と全体の35%を占め、全国平均の2・5倍に及んだ。
 《震災で家を失い、持病が悪化した。生活保護をもらって生きているのが申し訳なくなる。こんな自分でも生きていていいのですか。仮設住宅で電話すると隣に聞こえるので、布団をかぶってかけています》
 《原発事故後に夫が亡くなった。家族関係も悪くなり、子供たちが突然出ていってしまった。家族が離散してしまい、どのようにしてよいか気持ちの整理がつきません》
 センターの代表理事で、前岩手県宮古市長の熊坂義裕医師(62)は「震災から3年になり、将来の展望が見えてきた人と、そうでない人の格差が広がり、二極化している。阪神大震災でも3年で自殺者が増えたと聞いている。非常に危惧される状況だ」と語る。

自治会が「居酒屋」
 入居開始から2年9カ月間、自殺者、孤独死、アルコール依存症が一人も出ていない仮設住宅が、宮城県名取市にある。
 震災から2カ月弱の平成23年5月3日に入居が始まった際、101世帯257人を前に、自治会長となった元養護学校教諭、大脇兵七さん(75)は阪神大震災で問題になった自殺や孤独死のことを考えたという。
 見守り活動を始めた。家庭ごみを調べ、日本酒や焼酎の酒量が増えていないかまで確かめた。そこまでしなければ救えない命があることが分かった。部屋にこもり酒浸りの中高年男性。「酒を飲むなと言うとかえって飲んでしまう。飲みたい気持ちだって分かる」。自治会で「居酒屋」を始めた。集会所で2カ月に1度、会費200円で飲み放題。つまみは女性たちが作る。毎回40人ほどが集う。
 「現在は幸い、自殺者、孤独死ゼロが続いている。だが、今後は仮設を出て災害公営住宅へ移る。自宅を再建する人も増える。どう見守っていけばいいのか」
 東北学院大学の金菱清准教授(38)=環境社会学=は「被災地は今、曲がり角に来ている」と話し、こう述べた。
 「現在、防潮堤の高さをめぐり議論が起きているが、被災地でより深刻で重要なのは、将来の津波から命を守ることではない。今回の津波から助かった命をきょう、どのようにつなぎ留めるのか、どうやって震災関連死、関連自殺を防いでいくのかではないか」

【用語解説】震災関連自殺
 内閣府などは震災関連自殺を、(1)遺体を仮設住宅などで発見(2)仮設住宅などに居住(3)被災地からの避難者(4)自宅や居住地域、職場が地震や津波で甚大な被害(5)遺書や生前の言葉から震災の直接の影響あり-のいずれかの場合と定義。警察庁が認定する。復興庁がまとめる「震災関連死」にも自殺が含まれるが、これは災害弔慰金支給のため、市町村が遺族の申請により認定している。