明日、ママがいない 批評まとめ

 

 「物語の舞台は児童養護施設」と番組説明にもあり、マスコミもそのような表現で紹介しています。
 これが、不適切である。ドラマの舞台は、日本には存在しない架空の設定であり、児童養護施設と表現するに値しません。
 
 では、何が不適切なのか、指摘しましょう。

・児童養護施設の職員が、直接、親から子どもを引き取ることはありえない。
・児童養護施設でグループホームと呼ばれている制度はない。(地域小規模児童養護施設の通称として使用されている。)しかし、人員配置から察するに地域小規模児童養護施設でも、分園型自活訓練事業でもない舞台設定である。
・4人部屋の居室、最低基準を満たしているのか疑問である。
・保育士が一人も存在していない設定があり得ない。
・職員が2名で運営していることもあり得ない。その時点で、労働基準法違反である。
・ここまでで、自治体からの認可を受けられないため、措置費(補助金)は出ない。
・子どもを里親宅のラーメン屋さんで働かせているシーンがあるが、労働基準法違反であり、児童相談所が措置を進めることはあり得ない。
・児童相談所職員が、里親さんに脅迫的発言をしているがあり得ない。
・一日の生活を通して、放任状態である。いわゆるネグレクトである。
・日本の児童福祉行政の中で、この様な児童処遇はあり得ない。
・このドラマの職員は、個人事業主的に見えるが、その設定では措置費(補助金)がないので生活費をどの様に工面しているのか疑問。
・里親候補の個人情報を子どもたちに直接見せることはあり得ない。
・子どもたちが自分たちの家庭事情を言い合うことは殆どない。
・職員が、子どもを鼻血がでるほどの強度の平手打ち、施設内虐待である。
・バケツを持って立たせる仕打ちも虐待。
・男子が入っている風呂場で立たされているため性的虐待である。
・里親さんの所から戻ってきた子どもに、「おまえとは関係ない。迷惑だ」と言う職員は絶対いない。
・子どもに出前をさせている里親さん、考えられない。労働基準法違反で逮捕されるぞ。
・児童相談所職員のキャラクター設定が、失礼すぎる。児童相談所の殆どの職員は善良な人たちです。
・子どもを犬呼ばわりしている職員はあり得ない。暴言も虐待の一種である。
・児童相談所の職員が、外で個人情報の書類を渡すなどあり得ない。
・児童相談所も施設職員も通さず、親が直接、子どもに会いに来たシーンはあり得ない。
・小学生の女の子が洗濯しているシーンがあるが、職員の職務怠慢に他ならない。
・最後のシーンもバケツ持ちの罰、虐待シーンで第1話が終わった。

 冒頭に書いている通り、児童養護施設と言う単語を宣伝文句として使用していることが許せません。
 素直にドラマを見ている視聴者が、児童養護施設は、こんな所なのかと、誤解を招いてしまいます。
 児童養護施設で働く職員は、日々、子育てを担っています。ドラマで表現されているような子どもたちへの対応はあり得ません。
 子どもたちの人権は何よりも重要であると認識しています。
 現在の児童養護施設は、小規模グループケアを推進しており、より家庭的な子育て環境を構築しようと努力しています。
 脚本家は、児童養護施設を取材しないで、執筆したとしか考えられません。過度な虚飾ではなく、無知な虚飾です。
 児童養護施設の子どもたちと保護者、そこで働く職員、児童相談所等の行政職員、里親のみなさんへの配慮が一切感じられません。