「明日、ママがいない」公式ホームページの掲示板や各種掲示板、Twitter、facebook等々で、ドラマに対する肯定的な書き込みや否定的な書き込みが見受けられます。自分の意見を自由に発信できる日本は、本当に良い国です。
 ただ、時には、児童養護施設に対して、自分も関係するかも知れないとの認識がなく他人事のような書き込みが見受けられるのも事実です。
 児童養護施設は、日本中の全ての子どもたちが、家庭の事情で入所するかも知れない場所です。「自分たちとは関係のない場所だ」と考えている方がいたら、認識を見直すべきでしょう。
 あなたは、今の幸せが、いつまでも続くと未来を予測することが出来ますか。
 もしかしたら、交通事故や災害で、命を落とすかも知れません。経済的に破綻するかも知れません。離婚の危機に見舞われるかも知れません。重い病気を患うかも知れません。虐待をするかも知れません。
 未来は、何が起こるか分かりません。何かの事情で、どうしても子育てが出来なくなったとき、あなたの代わりに子育てを担ってくれるのが児童養護施設です。
 児童養護施設は、あなたと全く関係のない福祉施設ではないのです。母子家庭や父子家庭の子どもたちもいます。経済的な理由、病気による入院、刑事事件等による収監、保護者の死亡や行方不明等の子どもたちもいます。DVや虐待が日常的に行われていた家庭の子どもたちもいます。あなたの未来に、このような事情が絶対起きることはないと確信できるでしょうか。
 児童養護施設は、子育てを家庭だけではなく、社会として担っていこうとの「社会的養護」の働きを実践している場所なのです。つまり、児童養護施設だけに子育てを任せるのではなく、社会として、子どもたちを愛していくことが大切な事なのです。
 児童養護施設は、税金により運営されています。つまり、経済的に他人事ではないのです。あなたが納めた税金が関わっています。同じ、児童福祉施設として保育所がありますが、多分、こちらは利用する人も多く、身近な存在でしょう。利用するためには、利用料も必要です。児童養護施設も、児童入所施設徴収金が所得税額に応じて保護者から徴収されています。つまり、児童養護施設も保育所も児童福祉施設であることに変わりありません。ただ、圧倒的に保育所の利用者が多いだけなのです。
 究極の状況を思い浮かべてみましょう。それは、あなたが子育て中に何かの事故で夫婦とも亡くなってしまったと想像してください。あなたのお子さんは、どうなりますか?育ててくれる親がいなくなり餓死してしまいますか。あなたの身内や親戚で、自分亡き後、我が子を育ててくれる方はいますか。核家族化が進んでいる現在、更に自分の家族が生きていくのに精一杯の中で、それでも、我が子を育ててくれる身内や親戚が確実に存在すると確信が持てますか。反対のことを考えてみましょう。あなたの身内や親戚でご不幸があったとき、あなたは、そのご家庭のお子さんを我が子同然に子育てをすることが出来ますか。
 現在の日本社会では、そのような状況のお子さんが、路頭に迷ったり、餓死したりすることはありません。義務教育なども確実に受けることが出来ます。それは、何故か、福祉施策があるからです。身内や親戚の方など、どうしても引き取り先が見つからなければ、児童養護施設等の福祉施設が、あなたに変わって、子育てを担ってくれる。それが福祉なのです。
 ドラマ「明日、ママがいない」、他人事の世界として、次回も視聴しますか?

 当サイトでは、公式ホームページのイントロダクションの用語の使い方の間違いについて指摘していますが、添削例を挙げます。
 もし、「明日、ママがいない」公式ホームページのイントロダクションが、次のような文章だったら、どうでしょう。

“今、君の隣にママはいますか?”

物語の舞台は、無認可の児童養護施設
親の愛から見離された少女たちが集まる

児童養護施設
そこは、家庭に事情がある子どもたちが暮らす場所
その数は全国で約600件、生活する児童の数は3万人を超えている
その中には、’虐待’を受けた子どもたちもいる
子どもたちを愛するのは  誰?

子どもを愛せていますか?
子どもの声を聞いていますか?

このドラマは「愛すること」「愛されること」は何かを、
子どもたちの目線で問いかける。

「私たち、誰も知らなかった。
昨日も今日もいたママが、明日にはいなくなるなんて…」

すべての母親に、これから母親になる全ての女性に届ける

21世紀で一番泣けるドラマ

 テーマを崩すことなく、それでいて真実をゆがめていません。視聴者も「家庭に事情がある子どもたち」と言う表現から、社会の問題として認識しやすいと思います。
 また、「子どもたちを愛するのは  誰?」と問いかけることによって、テーマがよりくっきりと浮かび上がってきます。
 ドラマの内容は賛否両論ありますが、第1話を除いて第2話以降は、教示を含んだ内容でありメッセージ性があります。だからこそ、第1話の退廃的内容が惜しまれるのです。
 公式ホームページの掲示板を覗いてみると、ドラマのメッセージが伝わっている視聴者の存在があり、ドラマ放映は、社会に良い影響をもたらしている一面があることも確かです。
 繰り返しますが、だからこそ、公式ホームページのイントロダクションは、視聴者が児童養護施設を正しく認識できるように修正する必要があるのです。

 児童養護施設の知識を深めるために、当サイトのコンテンツを読んでいただくことをお勧めしますが、文章量が膨大ですので、入門編として、

 中学3年生の君へ:職員の想い
 伝えたい記憶→児童養護施設での記憶
 児童福祉Q&A

 を、ぜひ、流し読みしてみて下さいね。
また、現実の児童養護施設の子どもたちの様子は、
 聖母愛児園イベント記録
をチェックしてみて下さい。きっと、癒されると思います。