明日ママ上層部が裏で「指令」か

東スポWeb 2014年1月26日

「明日ママ」起死回生策の“反論VTR”制作へ

 関係団体などからの抗議が収まらない日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」の番組スポンサー2社が新たにCM放送を見合わせ、計5社が“撤退”したことが24日、判明した。期待した視聴率も下降し、いよいよ崖っ縁に追い込まれている。それでも芸能界からは「最後までやるべき」といった声も少なからず聞かれる。こんな“声援”を背に、日テレが起死回生の一手を模索しだしたという。それは、抗議に対する“反論VTR”の制作だ。
 騒動発生当初、日テレは「倫理問題を含め、総合的な観点で放送前に社内で議論した。最後まで放送を見てほしい」とコメントするなど、「局内にそこまで深刻に捉えているムードはなかった」と日テレ関係者。
 実際、同ドラマへの抗議を“過剰反応”とみる向きもある。24日午前1時から放送されたラジオ番組「ナインティナインのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)の冒頭、MCの岡村隆史(43)は「最後まで見て判断したらいいんとちゃう?」と指摘。続けざまに「これで放送中止の前例を作ったら『気に食わなかったら抗議したったらエエねん』って輩(やから)おるからな。何もでけへんようになる。テレビの未来はもうない」と、放送中止を望む視聴者を“モンスター視聴者”とばかりに批判した。
 岡村だけではない。某芸能プロの幹部は「スタッフも役者も、みんな一生懸命に撮影に臨んでいる。中でも、大人顔負けの演技を連発する愛菜ちゃんは『芦田プロ』とも呼ばれている。彼女たちのためにもこのドラマは続けるべき」と話す。芦田愛菜(9)を筆頭に出演する子役たちに罪はないのも事実だ。
 しかし、24日には新たに日清食品と富士重工業の2社がCMを見合わせることを決定。これで、スポンサー8社のうち計5社がCM放送を見合わせるという深刻な事態に。日テレ側も「放送を最後まで見て!」というスタンスではもういられなくなった。ただ、このまま全面降伏するのはまだ早いと考えているようで、抗議に対抗するため、局上層部は現場に対し、水面下である秘密指令を出したという。
「ウチは今回のドラマと関係なく、過去に報道番組や情報番組で幾度となく児童養護施設を取材し、ドキュメンタリー番組などを放送してきました。上層部は報道番組などの現場に対し、『過去3~4年前までさかのぼって、児童養護施設を好意的に取材したVTRを上にあげろ』という指示を出したのです」(冒頭の日テレ関係者)
 日テレ上層部は、過去に取材した児童養護施設のVTRを、一体何のために使うつもりなのか? 別の日テレ関係者はこう指摘する。
「上から使用目的を教えられたわけではないのですが、現場レベルでは『恐らく取材不足という批判をかわすために使うのではないか』と言われています。取材をまとめたVTRでも作り、抗議している関係団体やスポンサー筋などに見せ、『日テレは昔からこれだけちゃんと取材している』と“反論”したいのでしょう」
 今回の騒動で日テレが一貫して批判されているのは、親が育てられない子供を匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置している慈恵病院や、児童養護施設への取材不足ということだ。
 ドラマ関係者が「もともとこの枠では、松嶋菜々子主演のドラマを放送する予定だったが“ドタキャン”され、『明日、ママ』を急きょ放送することになった。脚本家の元にオファーが届いたのも去年の10月も終わりの方というから、準備不足・取材不足と言われても仕方ない状況」と証言するように、この点に関して強く出られないのも事実だ。
 そこで少しでも批判や反発を和らげるために“反論VTR”制作という話がささやかれているのだが…。
 まだまだ騒動は拡大しそうだ。

抗議によってテレビドラマが放送中止に?!BPOと法の考え方について

Masaru Sakamoto 2014年1月25日

アビタス米国弁護士コース担当の坂本です。
児童養護施設を舞台にしたテレビドラマが、注目を集めています。関係団体が放映中止を求めて強い抗議をする一方、タレントや文化人がそれを批判するという構図になっています。
関係団体の一つである病院は22日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に審議を求める申立書を送付したことから、事態はBPOを巻き込むことになりました。
ここで、BPOに関して簡単に触れておきましょう。
BPOとは、NHK(日本放送協会)と民放連によって2003年に設立された非営利の非政府機関です。その目的は、規約の3条に規定されています。すなわち、
『言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送
への苦情や放送倫理上の問題に対し、自主的に、独立した第三者の立場から
迅速・的確に対応し、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与すること』
としています。これに基づき、人権問題については、放送人権委員会が担当し、当事者の意見を聴くなどして、「勧告」や「見解」といった決定をまとめます。「勧告」や、放送倫理上問題ありとする「見解」に対しては、放送局に改善策等を盛り込んだ対応報告を求めることになります。
「勧告」や「見解」自体が直ちに差し止めや損害賠償責任を発生させるわけではありませんが、これらの措置は公表されることなどもあり、放送局にとっては、非常に重く受け取られます。
さて、社会的な影響の大きいテレビドラマに対し、ネガティブなものも含め、様々な感想を抱くのは当然です。
おそらく、「傷ついた人がいるから謝罪せよ、即刻放送中止せよ」とは極論だと思います。その一方で、事実誤認の程度が甚だしい内容や、未成年にとり刺激が強過ぎる表現まで「表現の自由だからこのまま放映せよ」というのも極論です。
結局、相互の主張を整理しつつ、論点を明確にし、対立点について一つ一つ歩みよることが重要なのだと思います。
例えば、他のドラマや映画、小説などのエンターテインメントと比べ、本件ドラマにどの程度表現上の問題があるかを比較検討しなければなりません。もし、未成年への影響が懸念されるのであれば、放映の時間帯をずらすべきでしょう。表現内容につき、事実誤認でかつ演出上不必要ならば、以後の脚本から修正すべきです。
このような、錯綜する利害対立の中で解決を模索していくプロセスというのは、まさしく「法」の考え方に他ならないのではないでしょうか。
本件がいかなる結末になるのか、また、BPOがいかなる判断を下すのかは、現時点ではわかりません。ただ言いうるのは、極論の採用ではなく、多様な意見の交通整理こそが、求められているのだと思います。

NAVER まとめの文書で、当サイトの文書が引用されていますので紹介します。

【児童養護施設/グループホーム】本当はどんなとこ?「明日、ママがいない」抗議、放送中止要請も

「『明日ママ』は放送中止すべき?」ノースポンサードの『5時に夢中!』視聴者投票で議論紛糾!

日刊サイゾー 2014年1月24日

 スポンサー企業8社のうち、3社がCMを自粛するという非常事態に追い込まれている芦田愛菜主演ドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)。23日放送の情報番組『5時に夢中!』(TOKYO MX)では、生放送中に「『明日、ママがいない』は放送中止すべき?」という視聴者投票を行った。
 結果は、「放送中止すべき」が4,458ポイント、「放送継続すべき」が6,925ポイント。視聴者からは、「過激とか、過激じゃないとかは人それぞれ。最近はそういったことに気を取られ過ぎて、ロクに面白くもないドラマばかりだった。放送中止になってしまうのは悔しい」「たとえフィクションとはいえ、今、日本に一つしかない施設を、悪い意味で取り上げる必要はなかったと思う。“ポスト”(主人公のあだ名)のことがなければ、フィクションとして考えさせられるいい作品になったのでは?」「現在、養護施設で働いています。できたらもっとフィクションっぽくするか、現実に近いものにするかにしてほしい」「はっと気づかされる点もあり、子どもたちも愛らしく、不幸な子どもを作ってはいけないと感じた。ただ、実在する団体を思わせる作り方は、傷つく人も存在する。十分に配慮していただきたい」といった声が寄せられた。
 レギュラー出演者の新潮社・出版部部長の中瀬ゆかりは、この騒動について「こんなんで放送中止になるなんて、とんでもない」と憤り、「そもそもこんなのおかしな話で、フィクションとか、小説でもそうですけども、ある現実がベースになっても、それをデフォルメしたりするのは一つの常套手段としてあるわけですよ。だってこれ、ドラマでしょ? フィクションなわけじゃないですか。それに誰かが傷つくとか文句をつけること自体、表現の自由をすごく侵害してる。例えば『オリバー・ツイスト』(孤児が主人公の有名小説)とか読んで、『これは孤児に対してひどいこと書いてる』って言うのかって。そういう残酷な面も含めての物語なんですから」とコメント。
 また、作家の岩井志麻子も、「こんないいドラマがなくなるのは惜しい」「100人が100人賛同する番組は作れない」とし、「まず単純に“面白い”っていうのがあるじゃないですか。これは“面白がり”だけじゃなくて、興味をかき立てられ、考えさせられ、『ああ、このような世界があるんだ』と知らされ、いろんなことを思わせてもらえるドラマ」と評価。さらに『5時に夢中!』(木曜)がノースポンサードであることを挙げ、「愛菜ちゃん、ここにも(スポンサーは)ないんだよ!」と笑顔でエールを送った。
 同番組以外でも、24日放送のラジオ番組『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)では、岡村隆史が「(テレビ番組では)なんにもできへんようになる。また(視聴者が)ちょっと気に食わないと、また(番組が)中止になって、ニュースになって。そんなのばっかり」「テレビは終わった」などと発言。また、“はるかぜちゃん”ことタレントの春名風花も、Twitterで「完全にドラマの解釈を間違えている『観る力不足』による誤解です」と厳しく反論し、話題となった。
 しかし、著名人たちが次々と擁護発言をする一方で、世論は依然として真っ二つ。22日には、赤ちゃんポストを設置している慈恵病院が、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に審議を求める申立書を送付。BPOはどんな判断を下すのだろうか?