虐待を受けた子供たちに「当たり前の生活」を ―児童養護施設長インタビュー

マイナビニュース 2014年8月29日

全国の児童相談所が今年3月までの1年間に対応した児童虐待の件数は7万3765件で、統計を取り始めて以来、過去最悪の数字となった。虐待問題をにどう向きあい、子供や親をどう支えていくのか。虐待で保護された子供などが生活する児童養護施設(東京都葛飾区・希望の家)の施設長、麻生信也さんに話を聞いた。施設では子供たちが「当たり前の生活」を取り戻す一方で、社会の理解不足や自立への壁など、課題も抱えている。

子供にとって大切な「当たり前の暮らし」
―「児童養護施設」とは、どういう施設で、どういうお子さんが暮らしているんでしょうか?
麻生:なんらかの理由で家で生活することが難しくなった子供たちをお預かりしています。今は虐待が非常に多くなっているので、家庭で虐待を受けて、そして保護されて児童相談所を経由してこちらに入所になるという子供たちがほとんどですね。入所しているお子さんの7割ぐらいが虐待を理由にはいってきているという状況です。
子供たちへの支援としては、日々の衣食住の提供が仕事の多くを占めていると思います。下は3歳から上は18歳までいます。年齢によってはお弁当が必要なので、職員は朝少し早く起きて、お弁当を作って、朝ご飯の下ごしらえをして、子供たちを起こして、朝ご飯を食べさせて、そして子供たちを見送ってと(いう生活です)。
残念ながら虐待の家庭だと、きょうご飯がでたけれど、明日は出ないかもしれない。お母さんが怒ったりすれば全てがぶち壊しになってしまい、そして理不尽な理由で暴力が始まります。(子供たちは)それを体験していますから、「ここはそうじゃないよ、毎日おいしいご飯が出て、毎日温かいお風呂に入ってゆっくり休めるよ」ということを感じてもらうには、いわゆる当たり前の暮らしが毎日続くのが大事だと思っています。それがスタッフの一番の仕事だと思っています。
その他に例えば心理士さんがいますので、心理士さんのところに子供たちが通ってきてセラピーやカウンセリングを受けて、またそれぞれの生活にかえっていくということをしています。あるいはソーシャルワーカーの人もいますので、家庭の状況はどうなっているのか、そしてどういったところに手当てをすれば、子供がもう一度家庭に帰っていけるのか、プランをたてて実践をしています。
ですから子供たちの日々の暮らしを支えるチーム、それからもうひとつは施設全体として多職種のチームがあり、そこが連動して力をあわせながら子供のケア、それから子供とその家族のケアにあたっています。

伝わらない施設の姿
―ここ最近ドラマ放送などもあり、児童養護施設への認知度、理解度など、変化はありますか。
麻生:あのドラマはインパクトがありましたよね。子供たちもいろいろなことを聞かれたり言われたりして帰ってきて、我々施設の現場にいるものからすると、非常に心を痛めたこともたくさんありました。お前の家もああいうところなの?とか、もらわれていくの?と言われて帰ってきた子もいました。だけどやはり、世間の認知がその程度だということについては、我々施設で働くものの力不足もあるだろうと思います。これからそこにも注力していかないといけないと思っています。
ドラマ云々ということだけではなくて、少し前にはタイガーマスクの現象もあってですね、うちの倉庫にもまだいくつか残っているんです。どうしても、断片的に施設の情報が伝わっていくんですよね。だけど、全体としての児童養護施設、きょう私の話を聞いてもらえたように、子供たちの生活どうなっていますか、とか、どういう風に支援を展開していますかとか、全体の話を聞いてもらえるチャンスがなかなかないんです。だからそのような場を作っていかないといけないし、施設の側が発信する様な工夫をしていかないと、子供たちがだんだん生活しづらくなっていくかもしれないと思っています。

施設出身、自立への壁
―18歳になって、子供たちが施設の生活を終えて社会にでていくとき、どのような問題点、大変さがありますか。
麻生:児童養護施設は児童福祉法で18歳まで、最大20歳までは延長してよいとなっていますが、実際は虐待を受けた子供の保護が優先されていて施設側が一杯なので、18歳で出ざるを得ないという状況が続いています。
―例えば仕事に就こうとか、新しい仕事、転職してみようというとき、親御さんのいない子供だと、例えば保証人などで困ることがあると聞いたことがあります。
麻生:そうなんです。自分がこの仕事に就きたい、あるいはこういう会社に入りたいと思ったとしても、そこに保証人になってくれる親がいない、あるいはアパートを借りて1人でがんばろうと思っても保証人がいないからアパートは借りられないということになると、子供たちは傷ついて意欲を失ってしまいます。是非そういう現実を知っていただいて、そして仕組みが変わっていければと思っています。
―現実として、親の保証がないと基本的にだめというところでつまずくケースというのは、今でもありますか?
麻生:ありますね。それに代わるような仕組みもあるんですが、だけどそういうことは知られていないので、「(親の保証はないけど)代わりの仕組みでこういうものがあるので、この仕組みでいきたいんです」とお話ししても、「ちょっとうちは」と言われてしまうんです。
―制度として、保証人がいない人のための制度もあるけれども、受け入れ側に知られていない。
麻生:そうなんです、知られていないですね。二の足を踏んでしまうことが多いですね。
―そこはなぜでしょうか。誤解や偏見があるんでしょうか。
麻生:誤解とか偏見があるかどうかはわからないんですけど、(児童養護施設が)充分知られていないというのはあると思います。児童養護施設に、一体どういう子供が入っているのかも知られていなくて、時として「非行を犯したりするようなお子さんがいるんですか」という質問も受けることがあります。児童養護施設出身ですと言うと、「なにか昔やったんですか」ということがあったりもします。
親がいれば、両親がいて、あるいは親戚がいて、近所の人がいて、友人がいて、バイト先の知り合いがいて、先輩がいて・・・社会の接点とかつながりって普通何本があると思いますが、施設にいる子供たちはそれが非常に少ないと思うんです。まずはその頼っていける親がいないという事から始まり、そうすると親戚づきあいもほとんどありません。コミュニケーションの力が弱いと友人との関係も薄くなってくる。そうすると少ない社会との接点が1本切れるとあっという間に下まで落ちていってしまい、残念ながらあっという間に生活保護を受けなければ暮らしていけなくなったり、時には住むところを失ってホームレスになったりしていくケースもあります。家がないので、就職をするときに寮がある会社に入る子が非常に多いんですが、そうすると仕事を辞めるイコール住む家も失うということになってしまいます。
児童養護施設にいる、あるいは社会的養護を受けているということで18歳での自立を強いられているという状況なので、少なくとも本人が充分力を蓄えて、「よし1人でがんばるぞ」と思えるまでは社会が十分保護してあげるような仕組みができたらいいなとおもっています。

地域の中の施設として
麻生:施設の中で子供たちはよく本当にがんばっていますから、そのがんばっている姿、あるいはその苦しんでいますから、苦しんでいる姿、それを多くの人に知ってほしいと思っています。
私の施設で、地域のお父さんお母さんに本当によくしてもらうんです。
運動会があると、「おかず多く作ったら持っていきな」と言ってもらったりすることもありますし、「うちで今度みんなでプールに行くから一緒にどう?」と言って、一緒に車でプールに行かせてもらうこともあるんです。地域の人たちにまずはもっと知ってもらい、それがもっと輪が広がっていくと、現状がより正しく伝わっていって、誤解とか偏見あるいは無理解などもなくなっていくのかなと期待をしています。
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政府、「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定

フジテレビ系(FNN) 2014年8月29日

政府は、子どもの貧困対策として、学校の学習支援の拡大や教育費用の負担軽減策などを盛り込んだ、「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定した。
安倍首相は「子どもの貧困対策に一丸となって、取り組んでいきたい」と述べた。
厚生労働省の調査で、平均所得のおよそ半分以下で暮らす子どもの貧困率は16.3%と、過去最悪となっている。
大綱では、子どもが生まれ育ちに左右されずに、勉強などができるようにと、社会福祉士を教育現場に配備し、学校と児童相談所などとの連携を強化するとしている。
また、中学校の放課後に無償で授業する学習支援を増やすほか、教育費の負担軽減のため、無利子奨学金を充実し、将来的には、所得に応じた柔軟な返済ができるようにするとしている。
大綱は5年ごとに施策を評価し、見直される予定。

悪化する日本の「貧困率」、これがその実態

nippon.com 2014年8月29日

経済規模で世界第3位の日本。物質的には豊かで平等な社会と言われてきた。しかし、国民の多くが「中流家庭」と自認していたのは、ひと昔以上も前の話。今や所得格差の拡大やワーキングプアの出現などを背景に、日本の「貧困率」は世界的に見ても高い。その実態をまとめてみた。

日本人の6人に1人が「貧困層」
貧困率は、低所得者の割合を示す指標。厚生労働省が2014年7月にまとめた「国民生活基礎調査」によると、等価可処分所得(注1)の中央値の半分の額に当たる「貧困線」(2012年は122万円)に満たない世帯の割合を示す「相対的貧困率」(注2)は16.1%だった。これらの世帯で暮らす18歳未満の子どもを対象にした「子どもの貧困率」も16.3%となり、ともに過去最悪を更新した。
これは、日本人の約6人に1人が相対的な貧困層に分類されることを意味する。この調査で生活意識が「苦しい」とした世帯は59.9%だった。貧困率が過去最悪を更新したのは、長引くデフレ経済下で子育て世帯の所得が減少したことや、母子世帯が増加する中で働く母親の多くが給与水準の低い非正規雇用であることも影響した、と分析されている。

政府も「子どもの貧困対策」に本腰
子どもの貧困率が過去最悪の16.3%になったのを受けて、政府は2014年8月、「子どもの貧困対策大綱」を初めて策定した。親から子への貧困の連鎖を防ぐため、教育費の負担軽減や親の就労支援などに乗り出す方針だ。
日本での貧困問題は、衣食住に不自由した戦後の混乱期を経て、その後の経済成長とともに改善した。1970年代以降、国民の多くが「一億総中流」と意識するまでに至った。しかし、バブル経済崩壊後の1990年代には、経済の長期低迷の中でリストラや非正規社員の増加などにより所得格差が拡大。世の中には“勝ち組、負け組“なる言葉も生まれた。

OECD諸国で4番目に高い貧困率
日本の貧困率は、国際比較で見ても高い。OECDの統計によれば、2000年代半ばの時点でOECD加盟国30か国のうち、相対的貧困率が最も高かったのはメキシコ(約18.5%)、次いで2番目がトルコ(約17.5%)、3番目が米国(約17%)で、4番目に日本(約15%)が続いた。貧困率が最も低かったのはデンマーク(約5%)だった。日本の相対的貧困率は、2000年代中ごろから一貫して上昇傾向にあり、OECD平均を上回っている。
2012年版「厚生労働白書」は、「公正」(Equity)に関する指標を各国と比較した日本の特徴として、(1)相対的貧困率が高く増加傾向にある、(2)ジニ係数(注3)もOECD諸国の平均より高く推移している、(3)就業率の男女差が大きく、長期失業者の比率がOECD平均より高い、(4)男女間賃金格差が大きい――などの点を挙げている。
日本の「公正」に関する指標は、「所得分配と機会の平等および個人の社会的自立の程度を反映して、全般的に低いパフォーマンスを示している」(厚労省白書)。所得格差を含めた経済格差の解決には、雇用の在り方とともに生活保護、公的年金、最低賃金などを含めた総合的な検討が求められる。格差社会の進行を食い止める対策は、今や日本にとって喫緊の課題の一つだ。
(注1)等価可処分所得…世帯の可処分所得(収入から税金.社会保険料などを除いたいわゆる手取り収入)を世帯人員の平方根で割って調整した所得。
(注2)「相対的貧困率」…一定基準(貧困線)を下回る等価可処分所得しか得ていない人の割合。厚労省はOECDの基準に基づき算定している。2012年の場合、所得が122万円未満の人の割合を指す。
(注3) ジニ係数…社会における所得分配の不平等さを表す指標。係数の範囲は0~1で、係数の値が0に近いほど格差が少ない状態。1に近いほど格差が大きい状態を意味する。

金沢で高校教諭がわいせつ…学園祭は中止に

日本テレビ系(NNN) 2014年8月30日

石川県金沢市の40代の高校教諭が10代の少女にみだらな行為をしたとして30日、警察に逮捕された。
児童福祉法違反の疑いで逮捕されたのは、県立金沢西高校教諭・山田裕之容疑者(47)。警察などによると、山田容疑者は今年2月、当時17歳の女子高生と一緒に車で富山県に向かいホテルでみだらな行為をした疑い。山田容疑者は、警察の取り調べに対して「18歳未満であることは知っていた。みだらな行為をしたことに間違いない」と容疑を認めているという。
金沢西高校は30日に学園祭の予定だったが、この事態を受け、開催を中止した。県教育委員会は「誠に遺憾。事実関係を確認の上厳正に対処したい」としている。

振り込め詐欺に関与か 13歳補導

NHKニュース 2014年8月30日

山形県天童市の70代の女性が現金およそ700万円をだまし取られた振り込め詐欺事件に、現金の受け取り役で関わったとして、警察が東京の13歳の中学生の少年を補導していたことが分かりました。
警察は、この少年から現金を受け取ったなどとして、20代の男を30日にも詐欺の疑いで逮捕する方針です。

山形県天童市では、ことし3月、70代の女性の自宅に警察官を名乗る男から「あなたの口座のお金が暴力団から狙われている。お金を守ってあげるので引き出しておいてほしい」と電話がかかってきました。
女性は、指定された天童市内の駐車場で黒っぽいスーツを着た男と会い、現金およそ700万円を手渡したということです。
女性はそのあと不審に思って警察に通報し、警察は駐車場周辺の防犯カメラの映像を分析するなどして捜査を進めてきました。
その結果、現金を受け取ったのは東京の13歳の中学生の少年だった疑いが強まり、警察がこの少年を補導し、児童相談所に通告していたことが、警察への取材で分かりました。
また警察は、首都圏に住む20代の男が少年から現金を受け取るなど事件に関わったとして、30日にも詐欺の疑いで逮捕する方針です。
山形県警察本部によりますと、振り込め詐欺などの詐欺事件に関わったとして、13歳の中学生が補導されるのは全国的にも珍しいということです。

水を入れるだけで電気が 世界初、紙製容器でできた「マグネシウム空気電池」 災害時を想定

ITmedia ニュース 2014年8月29日

古河電池と凸版印刷は8月29日、世界で初めて紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池「マグボックス」を共同で開発し、12月中旬に古河電池から発売すると発表した。水を入れるだけで電力を供給でき、紙でできているため廃棄もしやすいのが特徴だ。
東日本大震災の教訓を踏まえて開発した。主に自治体などに販売し、災害時に避難所などに設置してスマートフォンの充電などに活用してもらう。
マグネシウムを負極物質、空気中の酸素を正極物質とし、海水や水を入れるだけで発電できる電池で、最大電気量は300Wh。USBタイプの出力端子を2個装備し、スマートフォンを最大30回充電できるとしている。
正極で酸素の反応を活性化させる触媒にはレアメタルではなく酸素還元触媒を使用することでコストを削減した。両社の技術を融合させ、電解液が漏れにくく、実用的な容量を確保する構造を実現したという。
サイズは233×226×226ミリ、注水前の重さは約1.6キロ、注水後は3.6キロ。

Google、避難場所や公衆電話の位置が分かる「防災マップ」公開

ITmedia ニュース 2014年8月29日

Google日本法人は8月29日、「Google防災マップ」を公開した。東京都内の避難所の位置、公衆電話のある場所など、知っていると防災に役立つ情報を地図にまとめている。
東京都都市整備局とNTT東日本からのデータ提供を受け、「避難場所」「地区内残留地区」「火災危険度」「建物倒壊危険度」「災害時活動困難度を考慮した総合危険度」の5項目と「公衆電話・特設公衆電話」を、それぞれGoogleマップ上に上にマッピングしている。PC/スマートフォンのWebブラウザからアクセス可能だ。
発生中の災害について伝える「Google 災害情報マップ」と異なり、防災にフォーカスして情報を提供していく。

脱・三日坊主! 簡単に始められる運動習慣のつけ方

All About 2014年8月30日

20代~40代女性の8割が運動不足
健康的に体重を減らすには運動することが不可欠。一般的に「運動習慣がある」とは、「1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上続けている」ことを指します。
厚生労働省が毎年実施している国民健康・栄養調査では、体重を減らそうとする人の割合は、男性で40.5%、女性で51.6%。しかしながら運動習慣がある人の割合は、男性33.3%、女性27.5%でした。また20~40代の女性に限っては2割にも満たないという結果になっているのです。特に女性において、体重は減らしたいけれど運動習慣はほとんどない人が多いというパターンが見えます。
ここでは、運動習慣をつけるためのカンタンで効果的な方法をご紹介します。

運動を習慣化する4つのコツ
運動を始めることは比較的簡単に取り組むことができます。運動不足を痛感したとき、健康的な生活を送りたいと思ったとき、ダイエットを始めたいときなど、体を動かすきっかけは人それぞれ。ただ始めたものの、続けていくことがむずかしいと感じる人は多いのではないでしょうか。そんな運動習慣をうまく定着させるための4つのコツをご紹介します。
・目に見える結果をつくる
・小さな達成感を励みにする
・日常の習慣や他人との約束ごとと結びつける
・楽しみと結びつける

1. 数字やカレンダーで「目に見える結果」をつくる
運動を始めるきっかけは人それぞれですが、続けてこそ効果が表れるというもの。継続するコツとしてまずあげられるのが、「数字」をうまく利用するということ。
体重減量に取り組むのであれば、毎朝体重を記録してそれをグラフ化する、ウォーキングに取り組むのであれば歩数計などを携帯し、毎日歩いた歩数を書き残しておくとよいでしょう。
子供のころ、夏休みのラジオ体操のハンコを押してもらうことがうれしかったように、カレンダーに丸をつける、シールなどを貼るなど、目に見えるもので運動を行ったかどうかを確認できるようにすることも、運動を続けるコツの一つです。

2. コツコツと簡単な運動を積み重ねる
運動をしようと思い立って、今までまったく運動習慣のなかった人がいきなりフルマラソンに挑戦するような無謀なことを始めると、途中で挫折してしまう可能性が高いです。自宅周辺のウォーキングや、部屋でもできるストレッチ、エクササイズDVDを見ながらの運動や簡単なバランスボールトレーニングなど、自分が出来るところ、興味のあるところから始めてみるといいと思います。運動量も始めは物足りないかなと思うくらい、少なめに。ほんの5分、10分の積み重ねが運動習慣を定着させるのです。
また完璧主義にならず、どうしても運動の時間が取れない日はお休みしてもOK。これを「三日と持たずにやめてしまった」「昨日は運動できなかった」と自分を責めてしまうと負のスパイラルに陥ってしまいます。少しの運動を長く続けること、トータルでの運動量を考えるようにしましょう。目安としては1週間単位がわかりやすいと思いますが、長期出張や長期旅行などに出かけるときには1カ月単位での運動量で考えるといいでしょう。

3. 日常生活やゆるやかな強制力を利用する
普段必ず行う行動に運動をプラスしてみるのも一つ。たとえば台所に立つときには必ずつま先あげを10回行う、歯磨きをした後には必ずストレッチを行うなど、いろんなシチュエーションに応じて運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。毎回見ているテレビドラマのCM時間に腹筋運動を行う、通勤に自転車を取り入れるといった毎日行うことに運動習慣をプラスしてしまうと、身体を動かすことに苦痛を感じなくなるはずです。
一方、自宅で気軽に取り組むことのできる運動とは逆に、外部の強制力を利用する方法もあります。その一つがスポーツクラブを利用すること。スポーツクラブに登録すると、運動しないと会員費がもったいないと考えますし、パーソナルトレーナーにトレーニング指導を受けるのであれば、日時を予約したので必ず行かなければならないという外部からの強制力が働きます。
同じ運動を続けるのでも仲間がいればさらに効果的。一緒に運動する日時などを約束するとどうしても参加しなければならなくなりますし、話しながらできる程度の運動強度であれば何より楽しく続けられます。仲間と運動の成果を報告しあうことで自らのモチベーションUPにもつながるのです。日々の運動の成果は、実際にあって話すだけではなく、インターネットを使ってブログやSNSなどで報告し、友人などに見てもらうことも一案です。

4. ごほうびを用意する
運動をすると決めた時に新しいスポーツウェアやシューズを購入すると、「せっかく買ったのだからやってみよう」という気持ちにさせてくれます。
また自分なりに運動習慣の計画を立て、1週間続けられたらなど期間を決めて、自分へのごほうびを用意しておくとやる気がかなりアップします。ごほうびのために運動することも、運動を始める段階では効果的な方法です。ごほうびが運動グッズだとさらに運動を続けたくなること間違いなしです。
あなたのライフスタイルや気に入った方法で、運動を習慣化させるための4つのコツをぜひ取り入れてみてください。楽しみながら運動をすることで心身ともに健康的な生活を送りましょう。
文・西村 典子(All About 運動と健康)

別れた未成年息子が面会時に喫煙 殴った父は罪に問われるか

NEWS ポストセブン 2014年8月30日

厚生労働省発表のデータによれば、1960年代中頃まで6万91000組~8万41000組で推移していた日本の離婚件数は、2008年には25万1000組に到達。離婚件数は高いレベルで推移している。たとえ離婚をして親権を失っても、親には子どもに面会する権利があるが、別れた子どもと再会した際の態度の悪さに腹を立てて殴打してしまった場合、“元親”は罪に問われるだろうか? 弁護士の竹下正己氏が、こうした相談に対し回答する。
【相談】
離婚のため7年間離れて暮らしていた16歳になる息子と再会。しかし、煙草を吸いながら生意気な口をきくので、つい感情的になり殴ってしまいました。後日、元妻から下顎裂傷の診断書が届き、傷害罪で告訴すると通達されました。別れたとはいえ、父親である私は本当に訴えられてしまうのでしょうか。
【回答】
殴った結果、下顎裂傷を負ったことが事実なら、あなたは刑法の定める傷害の罪を犯したことになります。正式に告訴されれば、受理されるでしょう。告訴されても、実際に起訴されるかは傷害の程度や示談の成否などにより決まります。
親族間で起きた窃盗や詐欺などの財産犯罪については、親族相盗といって罪を免除したり、告訴がないと罪に問えない制度がありますが、暴行や傷害には同趣旨の制度はありません。
なので、息子であっても殴ってケガをさせると罪に問われる可能性が否定できないのです。ただ、親として子供をしつける上で、ときには実力行使も必要です。すなわち親は子供に対する懲戒権を持っていると考えられています。子供の非行を正したり、生活態度を矯正するためには、しかるだけでなく、つねったり、叩いたり、殴ったり、縛ったり、閉じ込めたり、食事を抜いたりすることもありうることです。
民法第822条も「親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる」と定めています。
しかし、物事は程度問題であり、親子の社会上の地位、子供の性情、矯正すべき非行の程度や性質などで事案ごとに判断されることになります。一時の激情に駆られたり、残酷な行為は懲戒権行使とはいえないでしょう。とはいえ、親が罪に問われた場合、子に対する懲戒権の行使として違法性がないという反論をすることができます。
ですが、右の民法の規定で明らかなように、懲戒権を持つのは親権者です。あなたは離婚して7年間、子供に会わなかったというのですから、親権者ではないはずです。結局、あなたの暴行を正当化するのは困難です。早く元妻と子供に謝った方がよいでしょう。
【弁護士プロフィール】
◆竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

眠り下手改善は同時刻起床が肝「眠れないなら寝るな」の教え

NEWS ポストセブン 2014年8月30日

9月3日は「睡眠の日」だと知っていましたか?睡眠について悩みを抱える人に、コラムニストのオバタカズユキ氏が一冊の本を紹介する。

ほとんど知られていないと思うが、9月3日は「睡眠の日」、その日を挟んだ8月27日から9月10日の2週間は「秋の健康睡眠週間」である。
これは「睡眠健康への意識を高める」啓蒙活動として、2011年に精神・神経科学振興財団と日本睡眠学会が協力して定めたものだ。3月18日も「睡眠の日」、毎年3月11日から25日までは「春の健康睡眠週間」となっている。3月18日のほうは、世界睡眠医学界が「世界睡眠の日」としているのに合わせたものとのことだが、9月3日は「ぐっスリー」だからそうしたという、眠気を誘うに十分なゆるい語呂合わせが制定理由だ。
ネットで調べても、睡眠の日や健康睡眠週間に合わせたイベントなどの最新情報がいまいちヒットしない。啓蒙活動は知る人ぞ知るどこかで密かに執り行われているようである。だが、睡眠に悩みを持つ日本人は少なくない。厚生労働省の大規模調査である「平成24年 国民健康・栄養調査」も、「睡眠で休養が十分にとれていない者の割合」は、30代で21.6%、40代で23.0%、とけっこうな数字をはじき出している。
そういえば、「睡眠不足は万病のもと」なる言い方もあった。ぐっスリー眠るためにはどうしたらいいのか。眠り下手をこじらせて久しい私自身にとっても大きな問題だから、この際まじめに学んでみようとしたところ、今年の初めに刊行された『8時間睡眠のウソ。』(日経BP社)という本がためになったので紹介しておきたい。
この本は、小説もノンフィクションも手がける文筆家の川端裕人氏が、日本の睡眠研究をリードする国立精神・神経医療研究センターの三島和夫ドクターから話を聞いて書きまとめる方式をとった一冊だ。川端氏の筆の運びが軽快で、早速まえがきから、<たとえば、本書で「新常識」とした次のような「事実」は、多くの人にとってとても興味深いのではないだろうか>と本の結論ともいえる内容を、以下のように列挙する。

・日本人は世界屈指の睡眠不足
・「深い睡眠」が「良い睡眠」とは限らない
・睡眠時間は人それぞれ、年齢でも変化する
・シフトワークは生活習慣病やがん、うつ病のリスクを高める
・日本人の体内時計は平均で24時間10分
・眠くなるまで寝床に向かってはならない
・「不眠=不眠症」ではない
・こま切れの睡眠はNG

さて、どうだろう。興味のアンテナが立つ「新常識」は人それぞれだろうが、私は体内時計の話がちょっとショックだった。というのも、人の体内時計の周期は25時間なので夜更かしになりがちなのは仕方ない、という「常識」が全否定されていたからだ。自分の夜更かし傾向は人類共通の問題のはずだったのだが……。
三島ドクターによれば、<25時間周期と言われていたのは20世紀の話でして、現代的に洗練された方法できちんと測ると、体内時計の一日の周期の平均は、実は24.18時間(24時間11分)>なのだという。<ただ注意しなければならないのは、これはあくまで平均で、それよりも長い人も短い人もいることですね>ともいう。
じゃあ、自分の体内時計はどのぐらいの周期なのか。それを正確に知るには、宇宙船のように外界と完全に隔離された「睡眠研究ユニット」なる箱の中で長期間泊まる必要があるそうで、現実性がない。そのかわりに自分の生活サイクルが、超夜型・夜型・中間型・朝型・超朝型のいずれの類型に位置するかならば、簡単にセルフチェックできる、と。
本で案内されていた「睡眠医療プラットフォーム」というウェブサイト内の「朝方夜型質問紙」で、実際に自分の類型をチェックした。すると、「あなたは『夜型』です」という判定結果が出た。日本人一般成人1170名中の自分の位置がわかるグラフも出てきて、「超夜型」とまではいかずとも、私は全体の中でかなり少数派の「夜型」だということが分かった。
やっぱり夜型だから布団に入ってもなかなか眠れないのか。そう思いながら本を読み進めると、またショックな三島ドクターの指導が書かれてあった。
<10分たっても眠れなかったら、ベッドから出るだけではなくて、寝室から必ず出るようにしてもらいます。というのは、不眠症の人って簡単な問題にはまっていて、ベッドに入って眠れないままにずっと我慢しているとか、音楽を流してリラックスしようとしたりとか、眠くなるまで本読んだりとか、テレビをつけてぼんやり見て、自然に眠りに落ちるのを待つとかするんです。こういうのはすべて、人間にとっては脳波のうえでは覚醒する作業なんですよ。だけど勘違いしていて、たとえばつまらない本を読んでいれば眠くなるとか思っているわけです>
痛いところを突かれた。私は「つまらない本」ではなく、「難しい本」を読もうとすることが多い。しかし、それがどんな内容の本だとしても、眠れぬ夜のための読書自体がご法度なのだ。一日を終えて、ようやく布団の中で仕事以外の本をめくりつつ眠りにつく、というのが私のささやかな希望だったりするのだが、それは不眠を招く原因に他ならないわけだ。
睡眠研究の最先端からの知見を、とっても分かりやすく、だけど私にとってはだいぶ厳しく教えてくれた『8時間睡眠のウソ』。睡眠に悩みを持つ方にはお薦めだが、眠り下手の改善にはとにかく毎日同じ時刻の起床が肝のようである。なかなか眠れなかった場合でも、決めた時刻にバシッと起きる。眠れないまま朝が来ても心配はいらないという。
<どうしても眠れなければ、その日は朝まで寝なくていいんです。必要になったら人間は、最低限の睡眠は必ずとりますから>
たしかに眠れないまま朝をむかえた日の夜はぐっスリー眠れるだろう。でもその日中の活動は確実につらい。不眠を解決したいなら、相応の闘いの覚悟が要る。健康睡眠への道は険しいのだ。