児童家庭支援センター 横浜市 全区設置へ

朝日新聞デジタル 2014年10月9日

横浜市は、子育てに不安がある家庭への支援を強めるため、児童相談所の補完的な役割を果たす民間の「児童家庭支援センター」を増やしていく方針を決めた。現在、市内には6カ所あるが、全18区への設置を目指す。
児童家庭支援センターは、児童虐待のおそれなど子どもの養育に不安がある家庭が、自宅で生活できるよう専門的な支援をする。民間の児童養護施設などに併設され、児童福祉司や社会福祉士の資格を持つ職員や心理学の専門家が24時間態勢で相談に応じる。
1997年の児童福祉法改正で認められた仕組みで、運営費は国や自治体が負担。全国児童家庭支援センター協議会によると、全国に約100カ所ある。県内には横浜に6カ所、川崎に4カ所ある。
横浜市こども家庭課によると、市内の6カ所のセンターには昨年度、のべ4413件の相談が寄せられた。各区役所と連携し、児童相談所の「一時保護」のような緊急性の低いケースで、子どもを泊まりで預かる「ショートステイ」の利用相談も受け付ける。
一方、児童相談所への相談・通告は昨年度で4209件あり、過去最多。09年度と比べて約2倍に増えた。区や児童相談所の態勢だけではきめ細かい家庭への支援が難しいという。
だが、センターは区ごとに偏在があるため、来年度以降の「市子ども・子育て支援事業計画」で、市内全域で展開していく必要性を盛り込む方針だ。谷口千尋・こども家庭課長は「市内には支援が必要な家庭は把握しているだけで5千を超え、実際にはもっといるだろう。専門的な支援を続けられるようセンターの整備を目指したい」と話す。

県内の児童家庭支援センター(厚生労働省などによる)
《横浜市》
・児童家庭支援センター みなと(中区)
・児童家庭支援センター むつみの木(南区)
・のば こども家庭支援センター(港南区)
・児童家庭支援センター おおいけ(旭区)
・児童家庭支援センター かわわ(都筑区)
・杜の郷子ども家庭支援センター(泉区)
《川崎市》
・しゃんぐりらこども家庭支援センター(幸区)
・かわさきさくら児童家庭支援センター(多摩区)
・あいせん児童家庭支援センター(川崎区)
・はくさん児童家庭支援センター(麻生区)
(及川綾子)

<傷害容疑>2歳娘暴行し頭骨折る、父逮捕へ 東大阪

毎日新聞 2014年10月9日

2歳の次女に暴行し、頭の骨を折る重傷を負わせたとして、大阪府警は9日、30代の父親を傷害の疑いで逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。次女は重傷を負っていたにもかかわらず、両親は治療を受けさせていなかった。体に複数のあざがあり、府警は日ごろから虐待されていたとみて詳しい経緯を調べる。
捜査関係者によると、次女は両親ら家族と東大阪市内のマンションで暮らしていた。父親は今年に入り、次女に殴るなどの暴行を加え、重傷を負わせた疑いが持たれている。
今年4月、府警布施署に「次女が虐待されているのではないか」という情報提供があった。警察官が自宅を訪れたが、両親が次女との面会を拒否したため、府警は府東大阪子ども家庭センター(児童相談所)に通告した。
児相は、虐待が疑われた場合に親の同意がなくても子供を一時保護できる、児童福祉法の規定に基づき、次女を職権で保護した。
児相職員らが次女の体のあざを確認し、すぐ病院に運んだ。病院で精密検査を受け、頭の骨を折る重傷を負っていたことが分かったという。背中や足には殴られたような複数の打撲痕もあった。命に別条はないという。
父親は次女が保護された後、別の事件で逮捕され、実刑判決を受けて収監中だ。
両親の知人によると、家族は約4年前からこのマンションで暮らしていたが、事件が発覚した後に引っ越したという。
マンションの住人は毎日新聞の取材に「あの家族の部屋は時々、玄関ドアが開けっ放しになっていて、大音量の音楽が外に鳴り響いていた。『お前ら静かにせえ』などと、子供をしかり飛ばす男の怒鳴り声も何度か聞こえてきた」と話した。

小4長男を虐待か、容疑の父親逮捕 鈴鹿

中日新聞 2014年10月9日

小学4年の長男(9つ)に暴力をふるってけがをさせたとして、三重県警鈴鹿署は9日、傷害の疑いで同県鈴鹿市弓削、トラック運転手久保勝之容疑者(35)を逮捕した。
逮捕容疑では、久保容疑者は8日午後10時半ごろ、自宅アパートの室内で、長男の頭や顔を拳で殴ったり蹴ったりして、頭の打撲など2週間のけがを負わせたとされる。署によると、「言うことを聞かせるために殴った」と容疑を認めている。
久保容疑者は、妻と子ども3人の五人暮らし。2012年3月と13年11月、当時長男が通っていた小学校から「あざがある」などと児童相談所に通報があり、児相や鈴鹿市の職員が家庭訪問していた。

【照明灯】ランドセルと日本人の心

カナコロ神奈川新聞 2014年10月9日

空港の免税店になぜかランドセルがずらりと並ぶ。海外からの旅行客に、土産物として人気が急上昇しているという。何が「クールジャパン」として人の心を引くか、分からないものだ▼中国にも似たものがあるそうだが、アニメや漫画の影響で「日本製の方がかわいい」と評価が高い。ステッチが入ったり、色彩豊かだったり。米国女優の写真がインターネット上で出回り、ブームを呼んだ。背負ったシルエットがかわいらしいと▼実用的な側面でも支持を広げる。あの頑丈さはカメラを守る。学校との連絡帳を入れるための隙間が、タブレット型コンピューターを収納するのにちょうどいい。両手が空くのは機能的で、安心安全でもある▼おじいちゃん、おばあちゃんから孫への贈り物の定番でもあり、商戦は年々早まって夏ごろに始まるようになった。ここ数年の年末は、どこかの「伊達直人」が児童福祉施設に届けたという話を耳にするようになった▼もともとは将兵の装備品として幕末に輸入され、明治になって学校かばんに転用された。歴史は150年ほどだが、郷愁に近い感慨を覚えさせるほど、深層心理にしみ入る存在になっている。そうしたランドセルにまつわる日本人の心のひだも、海外の人に伝わるといい。

和田秀樹:スマホ依存は「怖い病気」

nikkei BPnet 2014年10月9日

スティーブ・ジョブズが亡くなってから、初めてのiPhoneの大幅モデルチェンジといわれるiPhone6が爆発的な売れ行きだという。もちろん液晶も大きくなっているし、いろいろなスペックは上がっているが、思ったほど目玉機能がないという事前の評価をよそに、絶好調といえる。

ネット依存傾向の高い高校生、約68%が勉強時間減る
その一方で、総務省は2014年1月に都立高校154校、約1万5000人を対象にインターネットへの依存傾向についての調査を行っている。
この結果では、高校生の約6割がスマートフォンを含めて(むしろスマホが7~8割を占める)1日4時間以上、インターネットを利用しており、スマホの利用により「勉強時間が減った」と答える生徒が34.1%もいた。
とくに、スマホを含む携帯電話の利用時間が1日4時間以上、パソコンが約1時間半、タブレットが約25分という平均値の、インターネット依存傾向「高」と分類された高校生は、かなり深刻だ。「睡眠時間が減った」が74.6%、「勉強時間が減った」が67.7%、「引きこもり気味になっている」が49%、「学校に遅刻したり欠席したりしがちになっている」が35.8%で、日常生活や学業、そして対人関係に影響が出ている生徒が過半数という状況だ。
私は、この事態を相当憂慮している。
もちろん、6割もの子供がインターネット関連に1日4時間も時間を食われてしまうのでは、学力低下につながるのは間違いないだろうし、また体力も落ちてしまう。そうでなくても、子供が少なく、若年労働力の不足が予想されるのに、その質まで落ちてしまうことは、由々しきことと言える。
ただ、それ以上に、精神科医として心配するのは、この依存傾向があるとされる子供たち、とくにすでに依存傾向「高」とされる人の、かなりの部分が本当の依存症になりかねないということだ。

していないと不安に感じるのなら立派な依存症
依存症というと、よほど重症のように思われるかもしれないが、ある物質や行為が自分の意志でやめられない、止まらないの状態になって、それをしていないと不安であったり、不快であったりするなら、精神医学的に見て立派な依存症である。
たばこでも、やめられない上、それを吸っていないとイライラするというレベルなら、立派な依存症である。
ちなみに、ニコチン依存症は1800万人に上るという推計もある。
さて、依存症というのは、ある物質や行為が、どれだけ依存性が強いかによって決まるとされる。
たばこや覚せい剤は非常に依存性の強い物質で、それを使用した人の半分以上が依存症になってしまう。
全米アカデミー医学研究所の統計では、アルコールでは15%、精神安定剤では9%が依存症になるとのことだ。
行為でも、依存性の強いものと、弱いものがある。
セックス依存症とか、買い物依存症が問題になることがあるが、セックスをしている人や買い物を経験する人は、人口のほとんどのはずなので、依存症になる人の割合はそう多いものではない。

競馬とパチンコの違いはどこにあるか
ギャンブルは依存性の強い行為の一つと昔からされている。
現在のパチンコ人口は、2014年のレジャー白書によると1000万人を割り込んでいる。しかし、そのうち200万人が依存症と推定されている。
競馬人口は560万人という推定値があるが、依存症レベルの人は10万人程度とされる。
この差を考えることが、スマホ依存の恐怖を示唆するのだ。
一つは、その行為の与える興奮度だ。もちろん、競馬でも勝った時の興奮は経験した人にしかわからないなどと言われるが、パチンコの場合は、これに視覚と音の強い刺激が加わるから、余計に興奮して依存性が高くなるのだろう。
それ以上に、依存性に影響するのは、行為へのアクセスのしやすさと言われる。
競馬場というのは、確かに場外馬券売り場も増えているが、そんなにアクセスのよいものではない。さらに、毎日開催すれば依存性も強くなるが、一般的には週3回開催がいいところだ。
ところが、パチンコはどこの駅前にもあるし、また毎日開催である。
昔から、為政者は、ギャンブルは依存性が強いものと考えていたので、遠隔地にだけ認め、あるいは毎日開催しないことを原則としていた。確かにカジノは毎日開催であるが、ラスベガスやマカオやモナコなど、国の中心地から遠いところで認められている。
さらに、勝手に毎日開催したり、便利なところに造らないように厳しく取り締まり、それ以上に、ギャンブルを開いたものだけでなく、それに参加したものも罰するようにしている。

スマホへの依存性はなぜパチンコ以上に強いのか
さて、スマホの場合だが、依存性が強くなる条件をパチンコ以上に満たしている。
確かにギャンブル性はないかもしれないが、ゲームクリエーターが日夜、「はまる」くらいの刺激を与えられるものを開発し、それをクリアするごとに相当な興奮が味わえるようにしている。
またパチンコですら歩いて行かないといけないし、夜間はお休みになっているが、スマホの場合は、いつでも「携帯」しているし、夜中も休みはない。
こう考えると、すでに6割もの高校生が依存症予備軍(昨年の厚生労働省研究班の調査では中高生で依存症レベルが52万人と推定されている)ともいえるヘビーユーザーになっているインターネット(とくにスマホ)は相当危険なことなのだ。大学生や社会人になったからといって、その習慣が変わるとは思えないし、生活の自由度が増す大学生になると、そのリスクが高まる危険が大きい。
そして、このスマホの依存性をさらに強めている一例が、LINEという無料通話・メールのアプリだ。
私はやらないので詳しくないが、LINEというアプリは、メール機能が相当すぐれているようで、爆発的に普及している。
このアプリでは、あるメッセージを送って、それが相手に読まれると「既読」であることが送り主にわかる仕組みになっている。それなのに、返事をよこさないと、「既読スルー」とかいって、送り主を無視していたり、バカにしていたりしているとみなされるらしい。逆に、いつまで経っても「既読」にならないと、送ったのに無視しているとみなされることもあるようだ。

依存症は意思が破壊される病気
そこで、自分にきたLINEのメッセージを常にチェックしておかないと嫌われたり、仲間はずれになったりするリスクが中高生の間にはあるという。そのために、授業中でもスマホを机に置く、学校で禁止されている場合でも、家に帰れば(もちろん、学校にいるときと比べて、メッセージが送られてくる可能性も頻度もずっと高くなる)、勉強時間中でも勉強机の上に当たり前のようにスマホが置いてあるというのだ。
塾に行っている間など、LINEに返事ができない時間を狙ってグループチャットを盛り上げておいて、それにレスポンスがなかったからといって、そのグループに絶交されるというケースも知られている(というか、相当数あるようだ)。
そうでなくてもスマホは依存性が高いのに、それを四六時中、チャックしないといけない文化が出来上がっているのだ。
スマホ依存状態になると、歩いている時でもやめられないので、「歩きスマホ」で、老人にけがをさせたり、自分も危険にあったりする。また、社会人になっても、スマホのチラ見がやめられず、仕事中もスマホを机において数分おきにチェックを繰り返すなどということはざらにあるようだ。
依存症の怖いところは意思を破壊される病気だということだ。たばこにしても、覚せい剤にしても、やめられない人間は意志が弱いように言われるが、肝心の意思が破壊されてしまう。だから治療し、場合によっては入院させてでも、それらから引き離さないといけない。スマホやギャンブルについても同じことなのだ。

規制もかからず治療する場も少ないのが現状
この国の問題は、これだけ依存症のリスクが高いというのに、社会の対応がなっていないことだ。お隣の韓国では、夜中の12時から朝の6時までインターネットゲーム をできないようにする「シャットダウン制度」が設けられたり、ネット依存症の治療合宿も行われていたりするそうだ(韓国はパチンコの換金も禁止している)。
ところが、日本の場合は、ほとんどこの手の規制がかからず、治療できる場もきわめて少ない。また、スマホの広告も、欧米では禁止同然のアルコール類やパチンコ、ギャンブルの広告と同じように垂れ流しだ(むしろ、不況で一般の広告が減っている分だけ増えている)。
サバイバルを考えたら、大人であればスマホ依存の傾向があるなら、「ガラケー」に逆戻りする。あるいは、わが子がスマホ依存になりかけているなら、家に帰ったら使わせないくらいの毅然とした態度が必要だ。
依存症は、人間の意思を破壊するだけでなく、学習する能力や仕事の能力をも奪う、怖い「病気」だ。それを認識して、君子危うきに近寄らずの自覚をもってほしい。
ついでになるが、近著『スマホで馬鹿になる』(時事通信社)でその危険性を指摘しておいた。対策もある程度書いたので、ぜひ参考にしていただきたい。