経験者に聞く! 虐待を受けて育った子どもの将来とは

マイナビニュース 2014年11月4日

【ママからのご相談】
気になっていることがあります。3歳になる娘のお友達の様子がここ1か月ほど変なんです。以前は無邪気で活発な女の子だったのに最近ずっと元気がありません。あるとき、その子が転んだので、「大丈夫?」と、起き上がるのに手を貸すと、背中に数か所の青あざを見てしまいました……。とっさに“虐待”の2文字が頭をよぎりました。その子のママとは親しくさせてもらっています。私、怖くてどうしたら良いかわからないんです。私、どうしたらいいのでしょうか? 教えてください!!

A. まず、あなたが落ち着きましょう。
はじめまして。藤じゅんです。見て見ぬふりもできたのにも関わらず、よくお話ししてくれましたね。あなたのその勇気に心から敬意を表したいと思います。
現代社会において“虐待”“ネグレクト”“赤ちゃんポスト”など、子どもにまつわる悲しい出来事が後を絶ちません。“虐待”はドラマやニュースの中ではなく、実は身近なところで起きているのかもしれませんね。本当に心が痛みます……。
11月は『児童虐待防止推進月間』です。児童虐待防止全国ネットワークでは、『ためらわず 知らせてつなぐ 命の輪』というキャッチコピーの下、『児童虐待は社会全体で解決すべき問題です』と言っています。
このことを私たちは、いつも心のどこかに留めておきたいものです。

虐待を受けて成人された人の心は
私が今までのカウンセリングを通して、出会った二人の女性の心の叫びはとても悲しいものでした。
お二人とも30代の第1子、長女の方でした。共にご両親からの過度な期待の重圧を受け、ご両親の意にそぐわないと殴られ、一人の方は捨てられ保護された経験、そして、ベランダから突き落とされそうになったこともあるそうです。お二人とも今でもふとしたときにつらい記憶がよみがえり、不安定な気持ちになり、薬を服用し落ち着かせているようです。でも、薬が効かないときは、その不安定な気持ちを落ち着かせるため、知らず知らずのうちに自傷行為に走るものの、親から受けた傷の痛みを多く経験しているため、痛みは感じない……とお話ししてくれました。
この、虐待を受けて育ったお二人、妹たちがいたにも関わらず、虐待されたのは自分だけだったそうです。どうしてでしょうね……。
お二人の女性、これからの生き方に対しては全く違う意見を持っていました。

A子さんのケース
『物心ついたときから両親に殴られていた記憶があります。言うことを聞かないとか、頭が悪いとかが理由だったような気がします(悪いと言っても、常に学年10番以内をキープしていましたが、両親は1番じゃないと意味がないんだと、私を殴りました)。外に置き去りにされたり、色々な方法で殺されそうにもなりました。だから、私は命なんかどうでもいいんです。今思えば、どうしてあのとき死ななかったんだろうといつも思います。今生きているのが不思議でたまりません。子ども心に、「早く、私なんか死んだらいいのに。そうしたら、もう叩かれないし置き去りにされないし……」などと思っていました。
将来結婚して、子どもを産んで、幸せな気持ちを感じてみたいと考えたこともありました。でも、“虐待”は無意識のうちに遺伝のように繰り返すと聞いたことがあり、私も子どもに虐待をするかもしれない。だから、そんなことを私の代で終わりにしたいんです。虐待の遺伝子は残しちゃダメなんだと思いました。それに、私は親に子宮を何回も何回も蹴られているから、子どもは産めないような気がするんです。
こんなことを考えているうちに、やっと独りで生きていく心構えみたいなものが自分の中でできあがりつつあります』

B子さんのケース
『私は両親の言う通り、一生懸命勉強して小中高大校の一貫教育を受けました。でも、私が小学生のとき、父が脱サラをして事業を立ち上げ、金銭的に苦しい生活が始まったんです。そのころから両親は私のことを、「カネ食い虫」と言い始め、言葉の暴力が始まりました。母は、生活苦から包丁を振りかざして、「今から一緒に死ぬよ!!」と何度も私を追いかけてきたこともあります。私は、両親の言う通りの道を進んだのになぜそんなことを言われるか全く理解できませんでしたが、反抗したら殴られ、殺されると思い、歯を食い縛って耐えてきたんです。そして、一流企業に就職して現在に至ります。
現在はそんな両親から逃げるように家を出て独り暮らしをしています。これまでの人生、親の顔色をうかがい失敗しないように生きてきたので、仕事でミスをしたり上司から注意を受けると自分の存在価値を否定されたような気がして、生きていても仕方ない気がするんです。死にたくなるんです。でも、好きな人と結婚して温かい家庭を作りたいという夢も持っています。
自分がかわいがってもらえなかったから、自分の子どもをかわいがってあげたいんです。でも、一方で自分も気付かないうちに虐待するかもしれない、という恐怖も捨てきれないでいます』

大切なのは“無償の愛情”
みなさんはこのお二人の女性の気持ち、どう感じられたでしょうか? ご両親からの“無償の愛情”がその子の一生に大きく影響するといっても過言ではないような気がしてきますね。
では子どもに対する“無償の愛情”って、一体なんなのでしょう? 人それぞれだと思いますが、私は、親から子どもへの“無償の愛情”を持つために必要な親の意識を、こう考えています。
・子どもは親の言うことを聞かないものだと思うこと
・子どものためと思ってしていることが、単なる自己満足になってはならないこと
・子どもがどんなに反抗しても、子どもは母親のことが大好きだと自信を持つこと
・子どもが窮地に立たされたら、どんなときでも抱きしめてあげられる心を持つこと

私が4人の子育てをしながら、いつも自分に言い聞かせていることでもありますが……。
しかしながら、子育て中は、色々なストレスと向き合わなければならないときもありますよね。子育ては年中無休24時間営業です。知らず知らずのうちに、気付いたら“虐待”“ネグレクト”に向かってしまわないように早めの気付きが必要かもしれないですね。

ご相談者さまは、そのお友達にまず、こんな声をかけてみてはいかがでしょうか? 「○○さん、最近元気にしてる?」「今度子ども抜きでランチでもしない?」と。
お子さんの様子を聞くのではなく、ママの様子に重点を置いたお声かけが良いかもしれません。そのことがきっかけで事実が見えて、今後、あなたの取るべき行動が分かるかもしれません。どうかご参考になりますように。

(ライタープロフィール)
藤じゅん(カウンセラー)/二男二女(双子)の母。海外で出産した下3人は年子で双子。バリバリのキャリアウーマンになるはずだったが、出産・夫のニューヨーク転勤に伴い子育て中心の海外生活(6年間)を経て帰国。海外と日本の幼稚園のママ達のストレスを目の当たりにし、末子である双子の卒園を機にカウンセラーの資格を取得。以後、「ママの心の健康が大切」「ママが楽しければ子どもは幸せ」「夫婦は家族の原点」「夫との会話のススメ」「子どもが不登校になったら……」「子どもが反抗期の時は……」等、ママとなった女性の心のケアに力を入れている。また、近頃は男性からの相談を通して「男性側の視点」も大切にしながら、専門分野外の「対人関係の悩み」に幅広く対応している。

子育て・虐待防止ホットライン

NHKニュース 2014年11月4日

児童虐待で子どもが犠牲になる事件が後を絶たないなか、子育てに悩む保護者などからの相談に電話で応じる「子育て・虐待防止ホットライン」が全国各地で行われています。

この電話相談は「児童虐待防止推進月間」の11月に合わせて、毎年、全国の支援団体が連携して行っています。
このうち東京・世田谷区の「子どもの虐待防止センター」には午前中から電話が次々と寄せられ、4人のボランティアが相談に応じています。
相談は、子どもがかわいいと思えずイライラしてついたたいてしまうとか、子どもと2人きりで孤立しているなどといった子育てに悩む母親からの声が多いということです。
厚生労働省によりますと、ことし3月までの1年間に全国の児童相談所が把握した児童虐待の件数は7万3000件余りとこれまでで最も多くなっています。
支援団体は、子育てに悩む保護者にアドバイスするとともに、虐待の兆しを早期につかんで被害の防止につなげたいとしています。
子どもの虐待防止センターの鈴木久美子相談員は「一人で悩みを抱え込まずに気軽に相談してほしい」と話しています。
子育て・虐待防止ホットラインはおおむね今月7日まで全国のおよそ30か所で午前10時から午後8時まで行われていて、東京の電話番号は03-5300-2990、全国共通の番号は0570-011-077です。

待機児童、なお2万人超 保育士不足、資材高騰で「整備追いつかず…」

産経新聞 2014年11月4日

認可保育所に入所を申し込んでも入れない「待機児童」。厚生労働省の調べで今年4月、4年連続で減少しているものの、なお2万人を超える高水準にあることが分かった。安倍政権が「女性の活躍」を成長戦略の柱に据える中、各自治体は解消を目指すが、建設資材の高騰や保育士不足が壁となり、整備が追いついていない状況が背景にある。

プレハブ保育
都心のベッドタウンで高級住宅地として知られる東京都世田谷区。昨年4月時点で884人だった待機児童は、今年1109人に拡大した。厚労省の調査では、2年連続で待機児童数が最も多い「ワースト1位」の自治体になった。「働く女性が増えて入所希望者は右肩上がり。施設整備が追いつかない」。区の担当者は悲鳴を上げる。
地価が高く、ただでさえ敷地の確保が難しい中、追い打ちをかけたのが、建設業界を取り巻く人手不足と資材高騰の影響だ。区は今年4月までに3つの保育所を新設予定だったが、この影響で工期が延長。入園時期に間に合わず、今年7、8月に開園がずれ込んだ。

「区立小学校のグラウンドを間借りし、プレハブの仮設園舎を造るなどして対応した」(担当者)というが、受け入れられたのは予定の半分の180人のみ。担当者は「都心で空き地が少なく、新規の開設は難しいが、今後も国有地を安く借り受けるなどしながら整備を進めたい」という。

「ワースト2位」返上も…
昨年は695人と全国ワースト2位だったところから一転、待機児童がゼロになった福岡市。市内に5園を新設するなど、わずか1年で定員を1820人分増やした。「ワースト2位返上という市長の厳命を受けて、整備を急いだ結果」と担当者は胸を張る。
だが、市民の反応はすべてが好意的とは言い難い。駅に近く人気だった保育所の定員を増やすため、「遊戯室」を保育ルームに転用したり、耐震性や定員確保のため保育所を移転させたところ、近くにホテル街があったりしたことから「保育環境が悪くなった」などと不満の声も出ているという。
また、待機児童にカウントされないものの、希望の保育所に入れずに入所待ちをする「未入所児」がなお1116人いる。さらに「立地の悪い保育所では、逆に定員割れとなるミスマッチが起きている」という。

「認可外」に活路
昨年はワースト7位だった川崎市が力を入れたのは「認可外」の保育施設の活用だ。
同市は昨年4月、保育士の数などで市独自の基準を満たした保育施設を「川崎認定保育園」とし、独自の財政支援をしていくことを決定。昨年10月には施設の利用者に、最大で月2万円を助成する制度をつくり、認可保育所との差を縮める方策に打って出た。
また、認可保育所についても株式会社の参入を促し、空き店舗などの利用を推進。待機児童を1年で376人減らした。
株式会社の活用は「横浜方式」とも呼ばれ、独自基準を設ける方法は東京都が平成12年に「認証保育所」として導入済み。担当者は「まねをしたわけではないが、待機児童を減らすため、あらゆる施策を行っていきたい」と話している。

「給与低い」「忙しすぎる」で保育士資格生かさぬ人も
待機児童の解消に向け、厚生労働省は平成29年度末までの5年間に全国で計40万人分の定員を増やす計画だが、保育士の不足は深刻だ。「給与が低い」「休憩が取れない」など労働条件が悪く、資格を持っていても保育の仕事を希望しない人が多いためという。
厚労省の推計によると、保育サービスの潜在ニーズは265万人。これを満たすために定員を40万人増やすと、同年度には7万4千人の保育士が不足すると予測されている。
一方、同省によると、保育士の資格を持ちながら、ハローワークで別の職種を希望する人は多い。同省が25年に保育士を希望しない約1千人に理由を聞いたところ、約半数が「(保育の仕事は)賃金が希望と合わない」と回答。「責任が重い・事故が不安」も4割に及んだ。
全国福祉保育労働組合が今年3月にまとめた調査でも「責任のわりに給与が安い」「就労時間が長く、保護者の対応にストレスを感じる」「人数に余裕がなく、1人休むとぎりぎりの態勢になる」などの意見があった。
同省の調査では、こうした問題が解消した場合、保育士として働きたいとの回答が約6割あり、同省は「賃金を増やすために補助金を出す施策を進めており、活用を進めてほしい」としている。(伊藤鉄平)

<傷害容疑>小1男児虐待の母逮捕 一時意識不明 奈良

毎日新聞 2014年11月4日

小学1年の三男(6)に暴行して頭にけがをさせたとして、奈良県警は4日、母親の無職、宮本亜紀子容疑者(43)=奈良市あやめ池南2=を傷害容疑で逮捕した。三男は一時、意識不明の重体に陥った。
逮捕容疑は5月30日午前9時~午後5時、自宅で三男を突き飛ばしたり、強く揺さぶったりするなどの暴行を加え、頭に急性硬膜下血腫のけがをさせたとしている。「(暴行は)していない」と容疑を否認しているという。
県警によると、宮本容疑者は三男のほか長男(13)、次男(11)、内縁の夫(46)の5人暮らし。5月30日午後5時20分ごろ、宮本容疑者が「子供の様子がおかしい」と119番。三男は意識不明の重体で病院に運ばれ、緊急手術を受けた。7月上旬に退院したが、後遺症があるという。
県中央こども家庭相談センター(児童相談所)によると、2008年にも宮本容疑者から心理的虐待を受けたとして、長男と次男を約2週間保護した。【芝村侑美、宮本翔平】