虐待死見逃さず、証拠積み重ね=夫婦がケージに監禁、川に遺棄―3歳児不明・警視庁

時事通信 2015年5月23日

3歳だった男の子は、小さなウサギ用のおりに閉じ込められたまま亡くなった。東京都足立区で男児が行方不明になり、父親の皆川忍被告(31)、母親の朋美被告(28)が監禁致死、死体遺棄罪で19日に起訴された事件。不明発覚から約1年経過しても遺体は見つからず、警視庁は異例の立件に踏み切った。関係者の供述や証拠を積み重ね、虐待された末の死を見逃さなかった。
「あの家庭の子どもが1人いない」。通報が児童相談所に入ったのは2014年5月だった。行方が分からなくなっていたのは、夫婦の次男玲空斗ちゃん。警視庁は捜査を開始し、夫婦は翌6月上旬、横領事件で逮捕された。他の5人の子どもたちは施設に保護された。
当初、夫婦は玲空斗ちゃんについて「朝起きたら死んでいた。遺体は山梨県の河口湖周辺に埋めた」と供述。捜査員らは夫婦が示した場所を掘り起こしたが、遺体はなかった。
「遺体が見つからないままの立件は、非常に難しい。だけど、男の子の無念を何とか晴らさなければ…」。ある捜査幹部は当時、そう明かした。捜査は暗礁に乗り上げかけたが、夫婦は玲空斗ちゃんの児童手当を不正受給した詐欺容疑で、14年6月末に再逮捕。そして夏ごろ、朋美被告が「足立区の荒川に捨てた」と別の説明を始めた。
川からはケージとスコップが見つかった。夫婦は死亡する前の約2カ月間、玲空斗ちゃんを50センチ四方程度のケージに閉じ込めて生活させていた。
ケージは居間に置かれ、玲空斗ちゃんはパジャマの上着におむつだけの姿。2、3日に1度の食事や入浴以外は、立つこともできず体育座りのままで過ごしていたという。
13年3月3日ごろ、玲空斗ちゃんはケージの中で、忍被告にタオルを口に巻かれて窒息死したとされる。次男だけを監禁したことについて、夫婦は「言うことを聞かずにうるさかったから」と話している。
「虐待が疑われて、家族バラバラになりたくなかった」。死を隠し続けた理由について、夫婦はこう繰り返した。「ケージの中に入れられた子だって、『家族』だったはずだ」。ある捜査員はそうつぶやき、宙をにらんだ。

母親の8%「乳幼児にサプリ」=3割が製品詳細知らず―厚労省研究班

時事通信 2015年5月25日

乳幼児を抱える母親の8%が、子どもにサプリメントを与えていることが24日、厚生労働省研究班の調査で分かった。製品名や成分を答えられない母親が3割に上るなど、適切に利用されていない実態が明らかになった。
主任研究者の梅垣敬三国立健康・栄養研究所情報センター長は「ビタミンやミネラルも過剰に摂取すれば健康への悪影響が懸念される。成分の含有量や摂取量に注意してほしい」と話している。
調査は2013年2月、1~6歳の子どもを持つ20~40代の女性を対象にインターネットで実施。2063人から回答を得た。
その結果、子どもにサプリメントを与えたことがあると答えた母親は165人で、全体の8%だった。与え始めた時期は2歳が最も多かったが、約1割は0歳から食べさせていた。
与えた理由は、「食事だけでは栄養不足な気がした」がトップで、「なんとなく健康に良さそう」「好き嫌いが目立ち始めた」が続いた。製品に含まれる成分は30種類以上に上り、ビタミン類やカルシウムが上位を占めた。

「ぐりとぐら」作家の子供論 叱る時や励ます時の決めセリフ

NEWS ポストセブン 2015年5月24日

『いやいやえん』『ぐりとぐら』で知られる作家、中川李枝子さんは、作家になる前、東京の「みどり保育園」で十七年間、「保母」(現在の保育士)として働いていた。『子どもはみんな問題児。』はその体験から生まれた子ども論。実際に何人もの子どもに接して来た人だけに、優しく説得力がある。
「みどり保育園」は、園長と中川さんが始めたという。最初に園長はこう言った。
「この仕事は儲らない。だからその分、子どもからもらえるものはもらっておいて、そして楽しまなきゃ損よ」
実際、子どもが好きな人間でないと務まらない仕事だろう。園長はこうも言った。
「わが子を他人に預けるにはすごく勇気がいる」
「保育園を信頼しているから子どもを預ける。私たちは、お母さんの信頼を絶対に裏切るわけにはいかないのよ」

こんな考え方も面白い。
「みどり保育園」では「面倒なことは一切やらない」。「園だより」も出さないし、毎日の連絡帳なんてない。
「必要事項はぜんぶ口で伝えていました。今日の出来事でも、子どものちょっとした一言でも、お母さんに言いたいことでも。紙に書いたり、書いてあるものを読んだりするよりも直接顔をみて話すほうがいいでしょう」。
人と人のじかのコミュニケーションを大事にしている。園では給食はなし。そのかわり母親が弁当を作ってくること。子どもは母親の作ってくれる弁当を楽しみにしているのだから。贅沢と言えば贅沢。仕事を持っている母親は大変だろう。
園長には、学校に上がる前にこれだけは出来るようにと決めていたことがあった。鉄棒の逆上がり、棒登り、跳び箱、プール、でんぐり返し。子どもたちは遊びながら体得していった。
子どもたちが保育園に行くのは、親が働いているから仕方なく行くのではない。自分が行きたいから行く。それでも、中川さんは、言う。「でも、子供にとっていちばんの安全地帯はお母さんと我が家です」。
だから子どもを叱る時は「そんなことをしたらお母さんが悲しむでしょう」、励ます時は「お母さんが喜ぶわよ」と言う。「お父さん」の影が薄いのは少し寂しい。

僕たちは、だから「会社勤め」を辞めました

東洋経済オンライン 2015年5月23日

働き盛りといわれる30~40代の男性。責任ある仕事に意欲的に取り組み、滅私奉公で歩んできたサラリーマンも、子どもができたことをきっかけに考えが変わることがある。共働きの妻とのすれ違いの生活、子どもの寝顔しか見られない毎日に耐えられず「やめスイッチ」を押す男性も少なくない。

元・企業戦士の“イクメンカフェオーナー”
東京都多摩市に住む浜田健史さん(37)は、2人の子どもを持つ父親だ。多摩大学創業研究所の客員主任研究員として、多摩地域のマーケティングについて研究を進めながら、2013年に地域で創業支援を行う株式会社「たまらぼ」を設立した。
昨年には、団地が建ち並ぶニュータウンの一画で、商店街の空き店舗を利用したカフェ「タマラボ」をオープン。店内で創業支援や子育てをテーマとしたイベントを定期的に開催するなど、地域で起業したい若者や子育て世代が集まる拠点になっている。
妻はフルタイムで多摩市内の保育園に勤務する保育士。毎朝、家族の朝食を準備し、子どもたちを学校に送り出すのは浜田さんの担当だ。子どもが小さかった頃から、保育園で体調を崩せば迎えにも行くし、家事も半分くらいはやってきた。日中はラフなスタイルでカフェのカウンターに立ち、家族との時間を第一に考える”イクメン”だが、始めからこのように円満な共働きスタイルだったわけではなかったようだ。
大学卒業後、大手IT企業に就職した浜田さん。学生時代から「一部上場企業に就職して、理想の結婚相手を見つけて、子どもをもうけ、マイホームを購入する」という未来予想図を描き、まさにそのとおり実現するかに見えた。ところが、子どもができてからその予想図はだんだんと狂い始める。
子どもを授かったころの浜田さんは、ベンチャー企業で経営を任される立場になっていた。仕事の責任は重く、早出・残業は当たり前の毎日。通勤時間は片道1時間以上。家のことについては「10のうちの2もやっていなかった」という。
「自分は外でおカネを稼ぎ、妻は家を守る」。なんとなくそう考えていた浜田さんに対して、「仕事は生きがいのひとつ。辞められない」と言う妻。産後8カ月で妻が仕事に復帰すると、慌ただしい毎日の中で衝突を繰り返すようになる。

家族の近くで仕事がしたい
そんな中、東日本大震災に見舞われた。浜田さんは仕事で新宿にいた。電話はまったくつながらない。家族がどこで何をしているのかわからない不安感は、想像を超えるものだった。それをきっかけに「家族を大事にしなくては」と強く思うようになる。
1時間以上もかけて通勤するのではなく、家族とともに生活する場の近くで働くことができればと思うものの、なかなか仕事はない。だったら自分で起業しようと思い立つ。「周囲に聞いてみたら、自分のように家族の近くで働きたいと考えている人は意外と多かった。自分がモデルケースになって、地域にネットワークと交流の場を作ろうと考えました」(浜田さん)。
職住近接を実現してみると、時間にゆとりが生まれ、自然と育児や家事に参加するようになった。妻との衝突も激減。「公私の境目が薄れて、ワークもライフも人生の中に全部入っている感じです」と浜田さんは言う。
会社員時代のように安定した収入は見込めないが、生活に困るほどでもない。仕事に全身全霊を尽くしたところで、家族と気持ちが離れ、向き合えなくなるのならば、それは何の価値もない。
「スーツ着てガツガツ働いて、高い収入を得るだけが生きがいじゃないんだって思える男性がもっと増えればいいと思っています。ライフスタイルは自分で作るものです」(浜田さん)。
埼玉県所沢市に住む渡辺大地さん(34)も、都内への通勤を辞めたひとりだ。現在は、所沢を拠点に出産前後の家庭をサポートする事業を展開している。週末は新米パパを対象とした「父親学級」の講師として、夫婦で育児をスタートするための父親の役割について説く。
だが、そんな渡辺さんもかつては、家事や育児にはほとんど参加できない父親だったという。
都内の出版社に勤めていた渡辺さんの通勤時間は約1時間半。朝は7時ごろに家を出て、帰宅するのは毎日22時を回っていた。平日は子どもに会える日はまずない。「妻に毎日『写真を撮っておいて』と言っていました」。
都内の広告代理店で人事や総務の仕事に就いていた妻の琴美さん(33)も、通勤にはやはり1時間半を要していた。産育休を経て復職後は10~17時の時短勤務だったものの、朝は8時に家を出て、急いで帰っても自宅に着くのは19時だ。「私の復帰後は夫婦で会話する時間なんてありませんでした。好きで結婚したはずの相手なのに、“おカネさえ入れてくれたらそれでいい”くらいにしか思わない、乾いた気持ちになっていました」。
お互いが心の中で「このままではいけない」と思いつつ、慌ただしく毎日を過ごす中、東日本大震災をきっかけに大地さんの会社の業績が悪化する。転職先を探すと同時に、いつも家族の近くにいられるよう所沢で働くことはできないだろうかと起業の可能性も模索し始めたころ、琴美さんが第2子を妊娠する。

想定外の家事・育児体験から起業
起業のネタは、思いも寄らないところから生まれた。琴美さんが妊娠16週でまさかの破水。緊急入院と寝たきりの生活を余儀なくされたのだ。会社を辞めた大地さんは、子どもの世話と家事のすべてを引き受けることとなる。
この経験から、妊婦や産後の家庭を支援するサービスに需要があるのではないかと考えた。琴美さんの出産をモデルケースとしてサービスを組み立て、産後サポートの事業が少しずつ始まった。
琴美さんも第2子出産後は復帰をせずに会社を辞めた。会社が軌道に乗るまでは、家計がどうなるかという暗黒期もあったという。それでも琴美さんは「毎日家族そろって夕食を食べられることがいちばんの幸せ。夫が会社を辞めてくれて感謝しています」と話す。2人の夢は「所沢でならもうひとり産みたいと思ってもらえる街にすること」。夢に向かって2人のチャレンジは続いている。
ツバメの夫婦は子育て期間中、オスとメスがそろって巣を守り、巣の周辺でエサを取るという。職住近接の道を選んだ共働き夫婦の話を聞いていると、そんなツバメの子育てを思い出した。
それまでバリバリ働いていた優秀な人材が「やめスイッチ」を押してしまえば会社としては損失を被る。一方で、優秀な人材を取り入れた地域は地域力を高める絶好のチャンスを手に入れる。家族との暮らしに重きを置く子育て世代の価値観は、社会に働き方の多様化という新しい波を起こしつつある。

自分や家族に介護が必要になった時に心配なことは?

@DIME 2015年5月24日

今年8月から、公的介護サービスを受ける際の自己負担額が見直されることとなった。介護保険料の継続的な上昇に加えて、要介護認定者の負担も増える可能性が出てきた。保険ショップ『保険クリニック』を運営するアイリックコーポレーションは、実際の介護の経験やその実態、介護に対する認識などを、0歳~60歳までの男女500 名を対象にアンケートを実施した。その結果、半数が介護を“自分ごと”と回答したことがわかった。しかし資金の準備は10%どまりであることも明らかになった。
平成27年8月には、第1号被保険者(65歳以上)で一定以上の所得がある人は、公的介護保険サービスを受ける際の自己負担額が、現状の1割から2割負担に引き上げられることが決まっている。「一定以上の所得」については、本人の合計所得金額が160万円以上、かつ同一世帯の第1号被保険者の年金収入とその他合計所得金額が単身世帯で280万円以上または夫婦で346万円以上に該当した場合と条件が付く。
厚生労働省の試算によると、引き上げの対象となるのは65歳以上の被保険者のうち所得上位20%に相当するとみられている。この20%に該当するかどうかに関わらず、要介護者だけでなく、家族やその職場などにおいて身近となってきている問題に対して、早くから何らかの形での対策を講じておくことは大切だ。

自分や家族に介護が必要になった場合の心配なことは?
お金              424人
自分や家族の負担        287人
仕事              125人
介護する(される)期間      119人
介護の方法が分からない     109人
介護施設が見つからない     105人
公的制度の利用方法が分からない  96人
住まい              93人
心配なことはない         29人
その他              2人

介護の心配は『お金』と『家族や自分の負担』
自分や家族に介護が必要になった場合の心配事を聞くと、1位は『お金』、2位は『自分や家族の負担』、3位は『仕事』だった。今後も介護者認定者が増え続ける超高齢化社会を考えると、さらに保険料の負担増やサービスの縮小などの可能性も考えられる。

自分は介護を受けることになると思うか?
はい   231人(46.2%)
いいえ  269人(53.8%)

自分が介護を受けることがあると思うか聞いたところ、約46%があると答えた。40歳~60歳では約50%(124人)、20歳~39歳でも約43%(107人)がはいと回答し、若い世代でも介護に対して他人事ではなくなっているようだ。

自分や家族に介護が必要になった場合の、介護資金の準備はしているか?
している   49人(9.8%)
していない 451人(90.2%)

約46%が介護を受けると思っているけど、介護資金の準備をしている人は約10%止まり……自分が介護を受けると思っている人が約46%、そしてほとんどの人が介護の心配は「お金」と答えているのに、実際に介護資金の準備をしている人は約10%(49人)だった。今後も社会保障費用が増えていくことを考えると、少しずつでも万が一のための自助努力は始めた方がいいかもしれない。

介護資金の準備は何でしている?
預貯金  36人
株式   16人
生命保険 13人
介護保険 11人
投資信託  8人
外貨預金  7人
不動産   4人

介護資金の準備の方法を聞いたところ、ダントツの1位は預貯金。ついで株式、保険の順番だった。生命保険と介護保険を合計すると24人が利用している。平成24年1月1日以降の契約から生命保険料控除に「介護医療保険料控除」が新設された。所得控除の総額が増えたので、預貯金と保険を上手く組み合わせて利用するのが賢い選択だ。

あなたは介護をしているか。または介護をしたことがあるか。
している     25人(5.0%)
していた     81人(16.2%)
したことがない  394人(78.8%)

介護経験を聞いてみたところ、現在介護している人は5.0%(25人)、介護したことがある人が16.2%(81人)でした。5人に1人は介護経験がある事が分かった。40歳~60歳までが多く、現在介護している人は8.0%(20人)、介護したことがある人が18.4%(46人)。20歳~39歳でも、40人介護経験者がいた。現在介護している人は2.0%(5人)、介護したことがある人が14.0%(35人)。※20~39歳:250名、40~60歳:250名

介護をしていて困ったことは?
自分が自由にできる時間がない   60人
介護にかかる費用の確保     42人
先の見通しが立たない      38人
介護施設が見つからない     22人
仕事を退職(休職)した     21人
相談先がわからない       19人
介護サービスを利用したがらない 17人
周りが協力してくれない     10人
困ったことはない         8人
その他              2人

介護経験者に介護をしていて困ったことを聞くと、1位は『自分が自由にできる時間がない』、2位は『介護にかかる費用の確保』、3位は『先の見通しが立たない』だった。その他の意見では、「精神的ストレス」「自分の休息ができない」が挙がった。生命保険文化センターの調査によると、介護期間は平均56.5カ月(4年9カ月)。1カ月当たりの平均介護費用は7.7万円。介護には時間とお金がかかることがわかる。
※生命保険文化センター「平成24年度生命保険に関する全国実態調査」

「自分が介護を受けることになった」と仮定した場合、誰に介護されたい?
配偶者   165人(27.3%)
子ども   117人(19.4%)
嫁・婿    18人(3.0%)
親・兄弟   23人(3.8%)
介護職員  261人(43.2%)

自分が介護を受けることになったら、配偶者や子どもに介護されたい人が約47%(282人)、ついで介護職員が約43%(261人)でした。家族に受けたい人と、家族ではない専従者に受けたいで意見が分かれた。その他の意見としては「介護される前に亡くなりたい」という回答が多く寄せられた。

アンケート詳細
サンプル数 : 500名(男性250名、女性250名)
年   齢 : 20歳~60歳
調査方法 : Webアンケート
調査期間 : 2014年10月1日~10月3日