電子メディアが子ども発育に影響 岡山で小児科医が研究成果解説

山陽新聞デジタル 2015年11月22日

スマートフォン・携帯電話やテレビをはじめとする電子メディアとの適切な付き合い方を考えてもらおうと、幼稚園教諭や保育士らでつくる岡山子どもの本の会(脇明子代表)は21日、「メディアにむしばまれる子どもたち」と題した講演会を、岡山市北区伊福町のノートルダム清心女子大で開いた。
電子メディアと子どもの発育の関係を研究する小児科医の田沢雄作さん(67)=仙台市=が講演。「乳幼児の電子メディアの長時間利用は、脳の発育に悪影響を与える恐れがある」とした上で「幼少期は『心の土台』を育む重要な時期。身近な大人との直接的なコミュニケーションがその糧となる」と強調した。
スマホ・携帯の利用時間が「1日1時間以下」の中学生の成績は「全く使わない」という生徒を上回った―とするスマホ・携帯と学力検査に関する調査結果も紹介。「負の影響を正しく理解し、適正に利用することが大事だ」と述べた。
保護者ら約100人が聞いた。

家庭でのケアを誤ると“発達の遅れ”が目立つ!? 「3歳児神話」より大切な「3歳までの育て方」

All About 2015年11月22日

何十年もの間、母親たちの間で語り継がれてきた「3歳児神話」。子どもは3歳までの間に、母親のもとで育てられないと、成長に悪影響が及ぼされるという考え方です。
平成10年版「厚生労働白書」では、3歳児神話には「合理的根拠がない」とされ、平成16年発表の厚生労働省研究班による5年間の追跡調査結果では、一定の基準を満たした保育園での生活時間の長さと子どものコミュニケーションや運動能力には、ほぼ因果関係がないことが公表されています。
こうした報告などを機に、今では3歳児神話は「根拠のない言い伝え」ということになっていますが、とはいえ、人間の心の成長にとって「3歳頃まで」の期間がとても大切であることは、確かなことです。

3歳頃までの成長期間はなぜ大切か?
赤ちゃんの頃には、養育者からのマザーリング(お母さんのような愛情とスキンシップで接すること)を受けることで、育ててくれる人への信頼を感じ、自分自身や自分が生きる世界も信頼できるものだという「基本的信頼感」を獲得します。
さらに1~2歳頃になった子どもたちは、興味をひかれたものを見よう、触れようと外の世界に歩きだしていきますが、同時にそれまで密着していた養育者から離れていく「分離不安」を強く感じるようになります。そんなとき、養育者からいつでも温かく見守られ、不安な気持ちを「大丈夫」にかえてもらうことができれば、分離不安を乗り越え、集団生活の中に溶け込んでいくことができるのです。

3歳頃までの育児を誤ると……?
この3歳頃までの欲求や不安に対して、養育者からの十分な対応がなされずにいると、どうなるでしょう?
赤ちゃんは、自分が送ったサイン(泣く、ぐずる、笑うなど)に対して応えてもらえないと、他者や自分を取り巻く世界への不信感を持ち、自分自身のことも、信じることができなくなってしまいます。この不信感は、その後の人生における対人関係や社会生活にも、色濃く影響していきます。
また、1~2歳の頃に養育者との分離不安が残ると、その不安感をその後の人生で信頼を寄せた人(友だち、教師、恋人、上司など)との関係で表出していきます。一定の関係に必要以上に密着したがり、「私だけを見てほしい」「離れないでいてほしい」と束縛したくなります。少しでも心の距離を感じると、たまらなく不安で孤独に感じてしまいます。この対人関係における極端な不安感を、「見捨てられ不安」と言います。

「お母さん的なかかわり」で子どもは健全に育つ
子育てにおいて、「3歳児神話」で言われるような「母親自身による常時の育児」が絶対に必要という訳ではありません。しかし、3歳頃までの子の心の発達には、子どもをいつくしみ、安全基地となるような「お母さん的なかかわり」は、欠かせないものなのです。
たとえ専業主婦でも、育児ストレスでいつもイライラしていたり、家事や下の子の世話で忙しく、かまってあげられなかったりすると、やはり子どもの心には不信感や不安、寂しさが残ってしまいます。
ワーキングマザーの場合はどうでしょう? 保育園などを利用していれば、保育士が母親に代わってお母さん的なかかわりをしてくれます。とはいえ、子どもが成長するベースは何と言っても家庭です。
家庭でやすらぎや安心を得られない、お母さん的なかかわりを得られない、ベビーシッターなど養育者が目まぐるしく変わる、といった環境で過ごすと、そこで育った人の心には、やはり不信感や不安、寂しさが残ってしまいます。

家庭では安らぎと笑顔に満ちた時間を
冒頭で紹介した平成16年発表の厚生労働省研究班による5年間の追跡調査結果では、家庭にいて「家族で食事をする機会」がめったに得られない子どもは、対人技術や理解度の面で大幅な発達の遅れが目立つという結果が出ています。
つまり、たとえ短時間であっても、自宅ではたっぷり家庭的な雰囲気を味わい、家族との団らんの時間を楽しむことが、子どもの心の成長には必要なのです。
ワーキングマザーには、子どもと過ごせる時間が圧倒的に少ないものです。だからこそ、その限られた時間にたっぷり子どもと触れ合い、母子ともに安らぎと笑顔に満ちた時間を過ごすことが大切です。
逆に専業主婦は、子どもと過ごす時間が長すぎて、子育てがストレスになってしまうものです。だからこそ、ときにはリフレッシュをしたり、サポートの手を借りるなどして、子どもへの愛おしさを醸し出すゆとりを持つことが必要になるのだと思います。

(朝鮮日報日本語版) 韓国の児童虐待年間1万件超、加害者の8割が親

朝鮮日報日本語版 2015年11月22日

昨年冬、韓国首都圏にある児童保護専門機関の相談員は「小学生の姉妹が夜遅くにスーパーで足を引きずりながら試食コーナーを回り、空腹を満たしている」という通報を受け、警察と共に駆けつけた。
調査の結果、家出した母親を探しに行くといって父親が2週間以上も帰宅していないことが分かった。姉妹は足が凍傷にかかり、重症の姉は切断手術を受けねばならなかった。児童虐待の一種、ネグレクト(育児放棄)が招いた悲劇だった。
保健福祉部(省に相当)が「児童虐待予防の日」の19日に公表した報告書によると、韓国での児童虐待の発生件数は昨年が1万27件で初めて1万件を上回った。2001年(2105件)の3.7倍、前年(6796件)比では47.5%の増加となった。
特に、虐待を繰り返す再虐待は昨年が1027件と、08年(494件)に比べ6年で2倍以上に増えた。児童虐待の加害者の81.8%は親だった。
児童虐待件数の急増は、人々の意識の高まりや法規の強化とも関連している。昨年9月の「児童福祉法」改正、「児童虐待犯罪の処罰などに関する特例法」施行により、児童虐待を「犯罪」として厳しく対処できるようになり、国民からの通報も増えた。だが、韓国の児童虐待の実態は改善していないと専門家らは口をそろえる。
カトリック関東大国際聖母病院のキ・ソンワン教授(精神医学科)は「親から虐待を受けた経験のある人はその虐待癖を受け継いでいることが多く、子どもへの虐待を繰り返すケースも多い」と説明し「被害者の児童を保護すると同時に、加害者の親に対する治療や訓練も一段と強化すべきだ」と指摘した。
性的暴力の被害児童を支援するソウルヘバラギ(ヒマワリ)センターのウ・ギョンヒ副所長も「再発を防ぐには性的虐待の加害者を厳しく処罰するだけでなく、国が矯正・相談システムを整備する必要がある」と述べた。
児童虐待の種別としては、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、育児放棄がある。このうち2つ以上に当てはまる虐待は、昨年は全体の48%を占めた。暴言を吐いたり自尊心を傷つけたりする心理的虐待、十分な食事を与えないなどの育児放棄は、身体的虐待や性的虐待に比べ決して軽いものではない。中央児童保護専門機関のホン・チャンピョ・チーム長は「親の何気ない叱責が次第に体罰に発展し、それが構造化することもある。最初から子どもを抑えつけるようなやり方をしないようにすべきだ」と話している。
児童虐待の予防に向けた大きな課題の一つが、人員・施設不足だ。昨年は全国54の児童保護専門機関の相談員364人が6万1242件の児童虐待(疑い例を含む)を現場調査したが、1人当たり実に年間168件を担当したことになる。
また、深刻な虐待を受けている児童は親などの加害者から引き離し、全国37の保護施設に優先的に入所させるが、施設の受け入れ定員は計250人(1施設平均約7人)ほどにとどまる。専門家らは、被害児童が心の安定を取り戻せるよう、家庭的な雰囲気の小規模施設を増やすべきだと助言している。
虐待の前歴のある親に対する追跡観察(モニタリング)システムの整備も喫緊の課題だ。13年、蔚山で女が8歳の義理の娘を暴行した揚げ句に死なせた事件は、虐待が露見するたびに女が別の都市に引っ越し、これを隠そうとしたことが悲劇につながった。
児童虐待を被害者本人が通報するケースはほとんどない。専門家らは、国民一人一人が虐待の疑われる段階で通報するよう心がけ、親も「体罰と侮辱は明らかな児童虐待」という意識を持つべきだと指摘する。児童虐待の通報先は112番(110番に相当)に一本化されている。

男性の不妊治療にも助成金を。治療の種類とかかる費用は?

ZUU online 2015年11月21日

日本で不妊に悩むカップルは10組に1組ともいわれている。不妊の定義とは「健康な夫婦が避妊をせずに夫婦生活を送っているにもかかわらず、1年経っても妊娠に至らない状態」である。
現在、国の助成制度は女性向けの不妊治療が対象とされているが、厚生労働省は男性向けの不妊治療に対しても助成金を検討しており、早ければ年度内にも支給を始める方針である。不妊の原因の半分は男性といわれているが、そもそも男性の不妊の原因や治療法、不妊治療にかかる費用はどうなっているのだろう。

原因の半数は男性にもある
世界保健機構(WHO)が不妊症の原因を実施したところ、100組中、男性のみに不妊原因があるカップルは24組、女性のみに不妊原因があるカップルは41組、男女ともに不妊原因があるカップルは24組、原因不明が11組という結果になった。100組中48組(男性のみ原因24組+男女ともに原因24組)、つまり不妊症の約半数は男性にも原因があることがわかる。
しかしながら不妊を不安に思う夫婦はまずは女性が検査を受けるケースが多く見られる。不妊原因の半数は男性ということからすれば、男性も同時に検査を受けることが早期治療の早道となると考える。では具体的に男性不妊とはどういうものであるのか?

症状は大きく分けて2つ
男性不妊の症状は具体的には以下の2種類がある。
「造精機能障害」
精液中に精子がいない無精子症、精液中に精子はいるが数が乏しい乏精子症、精子の運動性が悪い精子無力症に分類され、男性不妊の約90%がこの症状にあたる。この様な症状であれば精子が卵管に到達しづらく不妊の原因となる。
「精路通過障害」
射精ができても精管が詰まっていて精子が排出されない状態のことである。精巣では精子がつくられているにも関わらず、精管が閉塞しているために精液中に精子いない「閉塞性無精子症」や精巣上体が細菌により感染し、炎症が精管をふさぐ「精巣上体炎」、前立腺の手術や糖尿病がきっかけで精子が逆流してしまう「逆行性射精」などがみられる。
他には勃起障害(ED)や35歳ごろから徐々に性質の質が低下していくことも原因のひとつである。
原因としては先天性と後天性のものがあり、先天性の原因は遺伝的要因や発育段階で受けた影響が見受けられる。後天性の原因は、アルコール、喫煙、ストレス、病気など様々な理由が考えられる。

かかる費用は「検査費用」と「治療費用」
男性不妊の治療の流れは、不妊検査を不妊治療専門の病院や泌尿器科で行い、検査結果により、今後の治療方針や治療内容が決まる。こういった治療にかかる費用は、健康保険の適用内か適用外(自己負担)かによって大きく変わってくる。
不妊治療にかかる費用は「検査費用」と「治療費用」がある。検査は採血や「血管内皮機能検査」「精液検査」があり、保険の適用内か否かや、検査を受ける医療機関によって数千円から1万円ほどとばらつきがあるようだ。
男性不妊の原因である精子が少ないもしくは出ない場合は、精巣から精子を取り出す不妊治療が多い。この治療は公的保険の適用外であり数十万円の治療費がかかる。

すでに治療費の半分を助成をしている自治体も
現行の国の制度ではこうした男性不妊治療については助成がなく、特定不妊治療(体外受精や顕微授精)について1回あたり最大15万円を国と自治体とで折半して助成している。現行の助成金に上乗せして男性不妊治療においても助成金を出す自治体が増えはじめ、厚生労働省も男性の不妊治療の助成に向けて検討し始めた。
すでに男性不妊治療の助成をはじめている埼玉県では特定不妊治療を行うために必要とされる精巣内精子生検採取法(TESE)や精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、その他精子を精巣や精巣上体から採取するための手術(保険適用外)などの治療費用の半分(上限10万円)を現行の助成制度に上乗せして支払う。
不特定治療制度には夫婦の所得額の合算が730万円未満、指定医療機関での保険適用外の治療が対象となるなどの条件がある。詳しい条件や男性不妊助成制度を設けているのかについてはお住まいの自治体に確認しておくとよい。

男性不妊治療法とかかる費用
男性不妊助成制度の対象となる「精巣内精子生検採取法(TESE)」「精巣上体内精子吸引採取法(MESA)」「経皮的精巣上体内精子吸引搾取法(PESA)」についての治療法とかかる費用は以下となる。
「精巣内精子生検採取法(TESE)」
陰嚢を切開し、白膜下を切り、ごく少量の精巣組織を採取し顕微鏡で精子の存在を確認 する。
「精巣上体内精子吸引採取法(MESA)」
腰椎麻酔をかけ、陰嚢を切開し、顕微鏡下で精巣上体被膜を切り、精巣上体管を露出しカテールなどで精子が入った精巣上体液を搾取する。
「経皮的精巣上体内精子吸引搾取法(PESA)」
局部麻酔の後、陰嚢皮膚より直接精巣上体に針を刺し精子がいる内容液を吸引する。
費用は10万円~50万円となる。
不妊治療は治療法や治療回数が重なり治療費が高額になる上、精神的な負担も大きく、治療を途中で諦めるカップルも少なくないという。男性向けの助成金の支給が開始されることでわずかでもカップルの負担が軽減されることを願う。