虐待里親に委託継続 県、登録取り消さず

東京新聞 2014年6月13日

何らかの事情で親と暮らせない子どもを養育する里親制度で、群馬県と滋賀県が、子どもを虐待したと判断した養育里親に子どもの委託を続けていたことが分かった。児童福祉法は都道府県などに、虐待した養育里親の登録を取り消すよう定めている。厚生労働省は里親委託を進めているが、「経緯を調べたい」としている。
厚労省の発表を基に共同通信が調べた結果、二〇〇九~一二年度に里親による虐待は少なくとも十三道県市で十九件あったことが判明。うち委託が続けられていたのは群馬、滋賀両県の各一世帯だった。二県以外は登録抹消などの措置を取っていた。
群馬県では一一年度、里親が子どもをたたくなどし、県が虐待と判断。この子どもの委託を解除し、別の子どもを委託した。滋賀県は〇九年度に里親が男児を虐待したと判断したが、四月時点でそのまま男児の養育を続けさせていた。ともに子どもにけがはなく刑事事件にならなかった。
群馬県によると、この里親は里親名簿に登録されたまま。現在、子どもの養育の委託を受けているかどうかは明らかにしていない。
担当者は「ひどい虐待ではなく、児童相談所から指導されたり、研修に参加したりして里親に改善が見られた」(群馬県)、「居場所を変えるのは子どもにとってよくないと判断した」(滋賀県)などとして、委託を続けたという。
和泉短大の桜井奈津子教授(児童福祉学)は「一、二回の暴行なら仕方がないと判断したのであれば言語道断で、虐待する側と同じ論理だ。絶対に起きてはならないという考えに立たなければ、虐待は撲滅できない」と指摘する。
児童福祉法の改正で、里親や施設職員らによる虐待は、本人や周辺からの通告を受けて都道府県などが調査し、公表するよう〇九年度から義務付けられた。
<里親制度> 親の死亡や虐待などの理由で、親と暮らせない子どもを里親が養育する児童福祉法上の仕組み。虐待を受けた経験や障害がある子どもを預かる専門里親、養子縁組を前提とした養子縁組里親、親族が育てる親族里親、それ以外の一般的な養育里親の4種類がある。里親の希望者は児童相談所に申請し、調査や研修を受けて都道府県などから認定を受ける。生活費や教育費も支給される。厚生労働省によると2013年3月末現在、里親家庭3487世帯に児童4578人を委託している。

限定正社員、安易な解雇はダメ 厚労省が指針案

朝日新聞デジタル 2014年6月13日

仕事の中身や勤務場所をあらかじめ会社と約束して働く「限定正社員」をめぐり、厚生労働省は13日、雇用ルールの注意点を盛り込んだ指針案をまとめた。判例上、限定正社員も安易な解雇は認められないことを紹介。就業規則や労働契約書のひな型も例示した。
指針づくりは昨年6月の成長戦略で決まった。正社員と非正規労働者の二極化解消のため、限定正社員を広めるねらいがある。指針案では、社内制度をつくり、安定雇用を求める非正規の働き手の登用や、長時間働けない正社員が一時的に選べる働き方として活用することを提言した。
厚労省は7月中にも指針をまとめ、企業向けに冊子を配ったり、セミナーで説明したりして周知する。(山本知弘)

「限定正社員」賃金は正社員の8~9割…指針案

読売新聞 2014年6月13日

非正規雇用で働く人たちの正社員への転換を促すため、政府が検討を進めてきた限定正社員制度について、厚生労働省が、企業が導入する際の指針案を固めた。
焦点となっていた賃金については、就業実態に応じて均衡を図った上で、目安として「一般正社員の8~9割」を示した。6月下旬に決まる政府の新成長戦略に盛り込む。
同制度は、職務や勤務地、労働時間などを限定する。骨子案では▽処遇▽一般正社員との相互転換制度▽人材育成、職業能力評価▽事業所閉鎖、職務廃止等の対応――など8項目について経営側の留意事項を定めた。
労働側から「人件費を下げるために利用されるのでは」と懸念されていた賃金に関しては、一般正社員との差を合理的なものにするよう求めた。勤務地限定の場合、同一の賃金水準を当てはめた上で、一般正社員側に転勤リスクに伴う手当を付ける案を示した。企業アンケートを基に「正社員の賃金の8~9割程度」が比較的円滑に運用されているとし、目安として示した。

生活保護受給213万人、過去最多…12年度

読売新聞 2014年6月13日

厚生労働省は13日、2012年度の生活保護の受給状況を発表した。
1か月あたりの平均受給者は213万5708人(前年度比6万8464人増)で、過去最多を更新した。また1か月あたりの平均受給世帯は155万8510世帯(前年度比6万135世帯増)で、こちらも、これまでで最も多かった。ただ増加数自体は年々減っており、厚労省は「景気回復の影響も表れ始めているのではないか」と話している。

ふきんは毎食ごと交換を 食中毒の時季到来

中日新聞 2014年6月14日

梅雨の時季から夏季にかけては、細菌が原因となる食中毒が多発する。免疫力が弱く、重症化しやすい子どもの食中毒の原因の多くは、家庭の調理にあるといわれる。体力が落ちた高齢者も注意が必要だ。手洗いや低温保存、加熱処理などに注意して夏を乗り切りたい。
五月に東京都内で開かれた料理教室。参加者の女性五人を前に、国際的な食品衛生管理手法HACCP(ハサップ)に基づく衛生指導に力を入れる栄養士の若宮寿子(ひさこ)さんが弁当を作りながら、台所や食卓の衛生管理を教えた。
代表的な食中毒を起こす細菌は、肉や魚、卵などに存在することを説明し「食肉は中心部までよく加熱して、野菜もよく洗ってください」と指導。卵を割るのは卵液が付かないようペーパータオルの上。卵焼きは、細菌の増殖を抑える効果があるといわれる梅干しなどを混ぜてしっかりと焼いた。
酢を入れて炊いたご飯、野菜の甘酢漬けなど、酢も食中毒対策として活用。調理中はこまめにハンドソープで手を洗い、肉などに使った包丁やまな板は、アルコール除菌スプレーを使うか、熱湯消毒するよう促した。
「特に夏場は台所のタオルやふきんを毎食ごとの準備で取り換えるか、ペーパータオルを使ってください」「冷蔵庫に入れても雑菌はゆっくりと増えます。前日に作った総菜は、翌日、七五度以上に温め直して弁当箱に入れてください」
水だけで洗った素手で作ったおにぎりは、せっけんでしっかり洗った場合より、三時間後の雑菌数が六百倍多いという実験結果もある。若宮さんは「食中毒対策を心掛け、安全でおいしいお弁当作りをしてください」と締めくくった。

「室内干し」では雑菌の巣に
細菌やかびの研究をしている衛生微生物研究センター(東京)などは今年四月、台ふきんの雑菌について実験をした。一度使った台ふきんを水洗いし、梅雨時を想定した室内環境で自然乾燥したところ、水洗い後の台ふきんに残っていた百八十個の雑菌が、八時間後に三百三十倍以上の六万個に、十二時間後には七百二十倍以上の十三万個に増殖していた。
一般家庭十三軒から回収した台ふきんで食卓を水拭きし、その直後の食卓表面上の菌数を調べたところ、水拭き後も約九割の食卓が雑菌まみれで、約七割で水拭き前を上回る雑菌数だった。
その上で、食卓に落とした食べ物は三秒以内に拾い上げれば大丈夫とする「三秒ルール」を確かめる実験をしたところ、試した食べ物すべてに雑菌が付着。特に生野菜やかまぼこなど水分が多く、表面が湿っているものは多量の雑菌が付くことが分かった。
李憲俊(りのりとし)所長は「水洗いと室内干しを繰り返した台ふきんは、食卓をきれいにするどころか、雑菌を広げる恐れがある。使用後は天日干しするか漂白処理するか、ティッシュやキッチンペーパー、除菌用アルコールなどを使って」と話した。
(砂本紅年)

食中毒 正しく防ごう

読売新聞 2014年06月08日

食中毒が気がかりな季節になった。予防対策のポイントを押さえて、この夏を健康に乗り切りたい。

菌の付着注意 まな板、包丁よく洗って
「家では、こうやって肉を切っています」
福岡県太宰府市の県保健環境研究所を訪ねると、保健科学部長の堀川和美さん(59)が、自宅で実践している対策を教えてくれた。研究所で長年、食中毒の調査に携わった経験から、家事に取り入れているそうだ。
まな板の上に、新聞1部を半分に折って置き、さらにキッチンペーパーを1~数枚重ねる。その上に生肉を置いて、包丁で切る。こうすれば、肉に食中毒の原因となる細菌やウイルスがついていても、まな板に付着するのを防げる。
「肉や魚用のまな板を別に用意してもいいけれど、このほうが洗い物が減って楽です」と堀川さん。手には半透明の手袋をつけている。家ではポリ袋を手にかぶせ、肉をじかに触らないよう気をつけるそうだ。
厚生労働省などが提唱する「食中毒を防ぐ3原則」の一つは、原因となる菌やウイルスを「つけない」こと。様々な食材のうち、特に生肉には菌が付着していることが多いという。例えば、「カンピロバクター」や「サルモネラ」は動物の腸内にいて、食肉として加工される際についてしまうことがある。これらの菌が、手やまな板についたまま調理を進めると、ほかの食材も菌に汚染されてしまう。
調理器具は、熱湯や消毒薬で殺菌するのも良いが、汚れがこびりついたままだと、それが保護膜となって効果が薄れてしまう。堀川さんがかつて調査をした食中毒事件では、学校の給食室でミキサーなどがよく洗えておらず、菌が広がったケースが見られたそうだ。
原則の二つ目は、菌を「増やさない」こと。菌は高温を好み、多くは30~40度で最も増殖する。夏は冷房をつけていても実際の室温は30度前後になるため、食材や料理を放置するのは避けたい。
また、冷蔵庫に入れても、菌が増殖する速度が遅くなるだけなので、注意が必要だ。「腐ったにおいがしなければ大丈夫と思いがちですが、腐敗していなくても菌は増殖しています」
堀川さんは夫と共働きで、同居の親や2人の子どもたちの食事をまかなってきた。今も煮物などを作り置きしておくことが多い。いつ作ったか分かるように、容器にビニールテープを貼って日付を書き、早めに食べきるようにしているそうだ。
原則の三つ目は、食材を十分加熱して「やっつける」こと。作ってから時間がたったものは、再びよく火を通して食べる。ただ、「ウェルシュ菌」など加熱しても死なない菌もあり、大量の作り置きは要注意。「正しい知識を身につけて、家庭での食中毒を防いでほしい」と堀川さんは話す。

買い出しから食べ終わるまで油断大敵! 食中毒を徹底的に予防する6STEP

パピマミ 2014年06月11日

【ママからのご相談】
夫と2歳の娘との3人家族です。これからの季節、食中毒が心配です。帰宅後は手洗いをしたり、賞味期限をチェックして料理したりはしていますが……特に娘が食中毒になるのが怖いので、他に気をつけることがあれば教えて下さい。

A.「今まで大丈夫だったから今回も大丈夫」という意識を変える。
ご相談ありがとうございます。個性幼児教育専門家・おうちサロンプロデューサーの赤井理香です。
前回の『特に6〜8月は要注意! 食中毒を引き起こす原因とは?』(http://papimami.jp/15890)に引き続き、今回は、厚生労働省が発表した対応策を基に、食中毒予防法をお伝えしたいと思います!
「食中毒予防の3原則」は、食中毒菌を“付けない”“増やさない”“やっつける”の3つです。
では、具体的にどんなことに気をつければ良いのでしょう。

「食材を買う瞬間」から「食べるとき」まで、各段階で、この3原則を実践するためのポイントをご紹介します。
(1)食材を買う時
・消費期限を確認
・肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は最後に購入
・肉や魚などは汁が他の食品に付かないようにそれぞれ分けてビニール袋に入れる。できれば保冷剤(氷)を利用
・購入後はすぐに帰宅
買い物からの帰宅途中、ついつい井戸端会議に花が咲かないように気をつける必要がありそうです。

(2)家庭での保存
・帰宅後、生鮮食品はすぐに冷蔵庫へ保管
・肉や魚は汁が漏れないように包んで保存
・冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は−15度以下に保つ
・肉、魚、卵などを取り扱う前後に必ず手指を洗う
・冷蔵庫や冷凍庫は適度な空間をつくる(詰めすぎると冷気の循環が悪くなる)
冷蔵庫や冷凍庫の温度は、夏と冬で大分設定温度が変わります。夏本番になる前の今の時期に、温度を低く設定しなおすと安心ですね。

(3)下準備
・調理の前に石けんで丁寧に手を洗う
・野菜などの食材を流水できれいに洗う
・生肉や魚は、生やそのままで食べるものから離す
・生肉や魚、卵を触ったら手を洗う
・生肉や魚を切ったまな板や包丁は必ず洗って熱湯消毒する(包丁やまな板は肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて使い分けると安全)
・ふきんやタオルは清潔なものに交換。台所は清潔に保つ
・冷凍食品は使う分だけ解凍し、冷凍や解凍を繰り返さない
冷凍食品をお子様のお弁当に使う場合、これからの季節は特に注意が必要ですね。
上記の注意点を参考にしながら、昔ながらの知恵もプラスして、防腐剤の役割がある梅干しご飯にするのも良いかもしれませんね。

(4)調理
・調理の前に手を洗う
・肉や魚は十分に加熱。中心部分の温度が75度で1分間が目安
バーベキューなど、野外でお肉を食べる時に、火が通らないまま食欲に負けて食べる人がいないよう、目を光らせる必要があるかもしれません。

(5)食事
・食べる前に石けんで手を洗う
・清潔な食器を使う
・調理後はすぐに食べる(作った料理は、長時間、室温で放置しない)
手洗いの重要性は繰り返し言われていますが、石鹸で中途半端な手洗いをすると、手のシワや爪などに入り込んだ菌が洗い流されず、逆に手の表面に菌が広がってしまう可能性があるため、20秒以上かけて、しっかり泡立てた石鹸でしっかり洗うことが大切だそうです。

(6)残った食品
・作業前に石けんで丁寧に手を洗う
・清潔な容器に保存
・保存して時間が経ちすぎたものは思い切って捨てる
・温め直すときは十分に加熱
・少しでもあやしい時は食べずに捨てる
「もったいない」と思うこともあるかもしれませんが、家族と自分の命と健康を守るために、「買った食材はすぐに使う」努力をするとともに、「少しでもあやしいものはすぐに処分する」と決めることも大切ですね。

最後に……
食中毒は、時には命を落とす危険性もあるほど怖いものです。
もし、嘔吐や下痢などの症状が出て、食中毒の可能性があると感じたら、市販の下痢止めなどの薬を服用することで、原因物質を排除しようという体の防御反応に逆らうことになり、悪化する場合があります。自己判断せずに早めに医師の診断を受けましょう。
以前食中毒にかかったことのある友人は、「あの苦しさを経験すると、あやしい食品を処分することに抵抗が全くなくなる。本当に死ぬかと思った」と話していました。

前回コラムでお伝えしたように、食中毒を引き起こす菌は、見た目や臭いではわかりません。
手洗いの徹底とともに、「今まで大丈夫だったから今回も大丈夫」という意識を変えて、予防法を実行して、確実に食中毒を回避し、自分と家族の健康を守りたいですね。