<西東京虐待自殺>2度のSOS伝わらず…会話3時間後の死

毎日新聞 2014年8月9日

西東京市で中学2年の男子生徒(14)が母親の再婚相手である父親の虐待を受けて自殺した事件は、学校が2度にわたるSOSのサインを見逃し、最悪の事態を招いた。生徒は先月29日、傷害容疑で逮捕された無職、村山彰容疑者(41)から「24時間以内に首でもつって死んでくれ」と言われ、翌日に命を絶っていた。警視庁は自殺教唆の疑いでも調べる方針だが、追い詰められていた生徒を救う手立てはなかったのか。

兆し
市教委によると、生徒は明るい性格でテニス部に所属。同級生の母親は「(母の再婚で2歳の)弟ができたことを喜んでいた。家事を手伝ったりとお母さん思いだった」と振り返る。
最初のサインは昨年11月中旬。右目が腫れていることに担任教諭が気付いた。「父親にたたかれた」と話したため村山容疑者に事情を聴いたところ、暴力を認めた。しかし生徒が「父親のように強くなりたい」などと話したことから児童相談所に通報しなかった。
担任は今年の4月にも顔にあざを見つけたが、生徒は「父親に殴られたが、いつもじゃないので大丈夫」と答えたといい、学校は両親への聞き取りをしなかった。6月13日から「体調不良」などを理由に欠席するようになり、担任は家庭訪問を申し入れたが、村山容疑者は「親戚宅にいる」などと拒み、そのままになった。

自殺
自殺当日の7月30日午前6時ごろ。母親は、自宅アパートの自室ベッドの上でぼんやりしている生徒を見た。「大丈夫?」と声をかけると「大丈夫だよ」と返した生徒は約3時間後、同じ場所で首をつっているのが見つかった。遺書はなかった。
村山容疑者はこの日逮捕された。容疑は前日の29日午後、生徒の顔などを数回殴るなどしてけがをさせたというもので、「首でもつって死ね」との発言はこの暴行直後に出たとみられる。
村山容疑者はボクシング経験者で、調べに対し「子供を強くするため、以前からボクシンググローブをはめて殴っていた」などと供述したという。虐待は3~4年前に生徒の母親と同居した直後から始まったとみられ、母親は「今年6月中旬から激しくなった」と説明している。

防止策
元児童相談所長で花園大の津崎哲郎特任教授(児童福祉論)は「連れ子の場合、母親は夫に気兼ねして虐待を止められず子供が孤立しがち。地域で連れ子再婚家庭同士が意見交換したり、助言を受けたりするような態勢が必要」と話す。児童虐待防止を目指すNPO「Think Kids(シンクキッズ)」代表理事の後藤啓二弁護士も「暴力傾向の強い親には、児相や警察を巻き込んで頻繁に家庭訪問し子供の安全を守る必要がある」と訴える。【神保圭作、松本惇】

養・継父が実父上回る摘発数
警察庁によると、昨年1年間の児童虐待事件で「父親」が摘発されたのは371人。このうち、実父は180人▽今回逮捕された村山容疑者のような継父と養父の合計が118人▽母の内縁の男49人--だった。主な容疑罪名は傷害・傷害致死が164人(実父90人、養・継父49人)▽暴行70人(実父41人、養・継父18人)▽殺人11人(実父7人、養・継父3人)。強制わいせつと児童福祉法違反に限れば、摘発者数は養・継父が実父を上回っていた。
一方、「母親」が摘発されたのは111人で、約9割の101人が実母だった。傷害・傷害致死で47人、殺人で21人が摘発された。【長谷川豊】

静岡のO157食中毒、発症者449人 過去10年で最大規模

日本経済新聞 2014年8月9日

静岡市葵区で7月26日に開かれた花火大会で、露店で売られた冷やしキュウリを食べた見物客から腸管出血性大腸菌O(オー)157が検出される集団食中毒が発生し、市保健所は9日、発症者が速報値で449人になったと発表した。
厚生労働省のデータによると、O157の集団食中毒としては過去10年間で最大規模となった。
市保健所によると、発症者のうち107人が入院した。腎不全などを伴う合併症「溶血性尿毒症症候群(HUS)」となった重症患者は4人。
冷やしキュウリの調理器具の検査ではO157は検出されず、市保健所はキュウリの皮むきなど加工に関わった男性を含む6人の検便を実施し、感染経路を調べている。
厚労省食中毒被害情報管理室によると、過去10年間では、2007年5月に東京都西東京市で学校給食が原因で445人が発症したのが最多だった。

深刻化する子どもの貧困対策 切れ目ない施策強調 政府大綱案

フジテレビ系(FNN) 2014年8月8日

深刻化する子どもの貧困対策として、政府が8月下旬にも閣議決定する大綱案を、FNNが独自入手した。
子どもの成長段階に即して、切れ目のない施策を実施し、金銭や現物給付を組みあわせる支援の重要性を強調している。
大綱案では、学校を子どもの貧困対策の基盤と位置づけ、教育費負担の軽減を目指し、生活保護や各種手当など金銭の給付や貸与、給食や学用品を想定した現物給付などを組みあわせた形で、生活の基礎を下支えする必要性を強調している。
また、児童養護施設などに入所している子どもや、生活保護世帯・ひとり親世帯の子どもなどに対して、優先的に施策を講じる必要を掲げ、こういった子どもの進学率や就職率などを「子どもの貧困に関する指標」に設定して、対策の効果を検証し、おおむね5年ごとをめどに、大綱の見直しを検討するとしている。.

<認可保育所>前園長と母が2億1000万円流用 吹田

毎日新聞 2014年8月8日

飲食費や自宅の光熱費に
大阪府吹田市で認可保育所を運営している社会福祉法人「紫峯(しほう)会」の前園長と前理事長が、保育所の運営費などを不正に流用していたとして、法人が約2億1000万円の返還を求めていることが分かった。運営費は公費で賄われているが、飲食費に使ったり、自宅の光熱費を保育所に負担させたりしていた。運営費不足などから、職員数が基準を下回る事態も招いていた。前園長らは返還する意向を示しているという。
市や法人関係者によると、前園長の40代男性は2011~12年、個人で使う乗用車を法人経費でリース契約(約410万円)したり、法人名義のクレジットカードでキャバクラでの飲食を繰り返したりしていた。
また、前園長の母親である前理事長の70代女性は、保育所隣にある自宅の電気・ガスのメーターを保育所と共同使用し、使用料を全て負担させていた。保育所と自宅が建設された1979年から30年以上にわたり、使用料の総額は約8000万円に上る。この他、領収書の日付がないなど使途が不明な支出が約4000万円あり、保育所の会計から他事業への不正支出も約5000万円あった。
市はこうした不正を把握し、前園長らに返還を求めるよう法人を指導。法人は流用が最大で約2億1000万円とみて、今年2月に前園長と前理事長に同額を返還請求した。
また、所得税や社会保険料などの滞納は約3000万円に上り、保育所の土地・建物は13年4月まで約2年間差し押さえられた。運営費不足もあって職員数は一時国の基準を下回っていた。児童に必要な歯科検診を受けさせていない年もあった。いずれも現在は改善している。
保育所は79年に大阪府の認可で設立し、年間8000万~9000万円の運営費は国と府、吹田市が負担している。さらに数百万円の補助金も受給しているが、職員数の不足などを理由に13年度はカットされた。
市の調査に、前園長は「すみません」と謝罪し、昨年3月に辞任した。前理事長は、前園長に運営を任せていたとし、「(電気・ガス代は)自分が払っていると思っていた」と説明したという。取材に対しては「わからない」と具体的な説明を拒んだ。現理事長は取材に「損害の回復と運営の改善を進めていく」と話している。【藤田剛、村上尊一】

認可保育所
児童福祉法に基づく児童福祉施設で、国の設置基準(施設の広さや保育士の数など)を満たして都道府県知事などから認可される。仕事や病気などの理由で保護者が保育できない場合に、小学校就学前の子どもを預かる。自治体が運営する公立保育所と、社会福祉法人などが運営する民間保育所があり、いずれも公費で運営される。2013年4月時点で全国に2万4038カ所あり、221万9581人の子どもが利用している。

外務省 エボラ出血熱で感染症危険情報

NHK 2014年8月8日

外務省は、エボラ出血熱を巡ってWHO=世界保健機関が「公衆衛生上の緊急事態」を宣言したことを受けて、「感染症危険情報」を出し、西アフリカの3か国への渡航を控えることや、現地に滞在している人には早めの退避を検討するよう呼びかけています。
西アフリカで患者が増え続けているエボラ出血熱について、WHO=世界保健機関は、感染がほかの国にも広がるおそれがあるとして、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。
これを受けて外務省は8日午後、感染者数が多い西アフリカのギニアとリベリア、シエラレオネの3か国について「感染症危険情報」を出しました。
この中では、▽3か国への不要不急の渡航を控えるとともに、▽現地に滞在している日本人に対して、今後出国できなくなる事態や十分な医療が受けられなくなる可能性があるとして、早めの退避を検討するよう呼びかけています。
また、やむをえず渡航や滞在をする場合には、アルコール消毒や十分な手洗いを行うほか、患者の体などに直接触れないよう求めています。
「感染症危険情報」は、危険度の高い感染症が発生した場合に出される情報で、外務省が出したのは、世界的に新型インフルエンザが流行した2009年以来、2度目です。

飛行機内のスマホ利用制限を緩和 新型機は「機内モード」で常時使用可能に 9月1日から

ITmedia ニュース 2014年8月8日

国土交通省はこのほど、航空機内でのスマートフォンなど電子機器の利用制限を9月1日から緩和すると発表した。新型の航空機なら、スマホを「機内モード」にしておけば、離着陸時を含む常時、ゲームや音楽などを楽しめる。
欧米で機内での電子機器の使用に関する方針が見直されたことなどを踏まえ、航空法に基づく告示を見直した。航空機を電波に対する耐性に応じて区分し、ボーイングの「B787」やエアバスの「A320」など新型の航空機なら、機内モードのスマホを常時利用でき、離着陸時も電源を切らずに済む。無線LANによるネット利用も可能だ。
機内Wi-Fiに接続するPCや、Bluetoothでアドホック通信する携帯ゲーム機なども、機外の無線通信設備と通信しない限り、常時利用可能になる。
LTE/3Gを使った通話など、機外との通信・メールなどは引き続き禁止する。

IEへのパッチ提供、最新バージョンだけに限定へ、2016年1月より実施

INTERNET Watch

米Microsoftは、Internet Explorer(IE)へのテクニカルサポートおよびセキュリティ修正パッチの提供について、最新バージョンのIEのみに限定すると発表した。このサポートポリシーは、2016年1月12日より適用する。
IEの最新バージョンはOSによって異なり、Windowsの各バージョンでそれぞれ利用可能なIEの最新バージョンということになる。2016年1月12日以降、サポート対象となるWindowsのバージョンとIEのバージョンの組み合わせは以下の通り。

Windows Vista SP2 Internet Explorer 9
Windows Server 2008 SP2 Internet Explorer 9
Windows 7 SP1 Internet Explorer 11
Windows Server 2008 R2 SP1 Internet Explorer 11
Windows 8.1 Internet Explorer 11
Windows Server 2012 Internet Explorer 10
Windows Server 2012 R2 Internet Explorer 11

例えば、Windows 7 SP1であれば、サポートされるのはIE 11のみとなるため、IE 8/9/10のユーザーはそれまでにIE 11に移行する必要があるわけだ。
Microsoftでは、最新ブラウザーはセキュリティが強化されているほか、パフォーマンスや信頼性の面でも改善されているとし、Windowsの自動更新を有効にし、IEを最新状態に維持して使用することを推奨している。
なお、IE旧バージョン向けの業務アプリなどを継続して使用している企業向けには、Microsoftでは4月より、後方互換性(IE 8互換)を備えた「エンタープライズモード」をIE 11で提供している。Microsoftでは今回、同モードのサポート期間について、Windowsの各OSのサポートライフサイクルと合わせることを告知した。例えば、Windows 7でのエンタープライズモードのサポート期間は、同OSのサポートが終了する2020年1月14日までとなる。

値上がり続く電気料金、原発再稼働との関係は?

THE PAGE 2014年8月8日

北海道電力が先月、電力料金の値上げを申請しました。「電気料金が値上がりする」と聞くと、階段状に料金が上がっていく様子を思い浮かべるかもしれません。しかし、原発が止まった東日本大震災以降、電気料金は階段状ではなく、直線状に上がり続けています。電気料金の上昇と原発再稼働はどう関係しているのでしょうか?
震災後、東京電力を例にとってみると一般家庭向けの電気料金は、この3年間で4割近くも値上がりしています。年間では約3万円の負担になっていて、じわじわと目に見えて分かるくらい負担が増えてきました。

電気料金がじわじわ上がる原因は?
電気料金は毎月変動しています。電気を作る燃料となる石油や天然ガスの価格が上がったり下がったりすると、これに連動して電気料金も上がったり下がったりします。上がるだけではなく、燃料の価格が下がれば、電気料金も下がるというシステムで、これを「燃料費調整制度」と言います(電気料金の明細をよく見るとその額が書かれています)。
電力会社は、そもそも電気料金の値上げを申請する際、今後3年間に石油や天然ガス、石炭で電気を作るのにこれくらいの費用がかかるだろうという見通しをもとに計画を立て、電気料金を決めます。見通しは見通しなので「燃料費が高くなったり、安くなったりしたらその分調整しますよ」というのが「燃料費調整制度」です。ただし、原子力や水力など、火力以外の電力にこの制度は適用されません。
その燃料ですが、ここのところ中東情勢や円安、日本の燃料購入量が増えていることを背景に、石油や天然ガスの国際価格が高騰を続けています。そして、この「燃料費調整制度」があるため、電力会社の見通しより燃料費が高くなったら、消費者がこれを負担するわけですから、年々電気料金が上がり続けているわけです。

電気会社が料金を値上げする理由
一方、私たち消費者が燃料費の増加分をその都度負担しているのなら、電力会社はわざわざ値上げをする必要がないはずです。それなのに、なぜ値上げをする必要があるのでしょうか?
東日本大震災以降、原発が発電をストップしました。そこで、電力会社は、原発で作るはずだった電気を石油や天然ガスで作らなければならなくなりました。原子力発電を火力発電に変えたことで増加した燃料費は年間3.6兆円、1日約100億円増加したと試算されています。これは電力会社にとって大きな負担です。
しかも、原子力発電所の代わりに動かしている火力発電所の燃料費増加分は、いまの電気料金の根拠になっている計画に含まれていないので「燃料費調整制度」が適用されません。これが電力会社の経営を直撃しています。東北電力、東京電力、北陸電力をのぞく電力6社は3期連続の赤字です。
実のところ、電力会社は原発の再稼働を見越して現在の電気料金を設定しています。北海道電力による今回の値上げ申請でも、3年以内に泊(とまり)原発3基の稼働を見越した料金設定にしています。つまり「3年以内に原発が動くのだったら、この料金で電気を提供できますが、そうでないならこの料金では提供できません」と言っています。
ほかの電力会社も事情は似たようなもので、たとえば、関西電力も2013年5月に料金を値上げした際、大飯原発など計4基の再稼働を見越した料金設定にしていますし、同じ月に値上げした九州電力も川内(せんだい)原発など計4基の再稼働を見越した料金設定にしています。
原発の再稼働の見通しが立たなければ立たなくなるほど、電力会社は値上げをせざるを得なくなる。北海道電力が電力料金の値上げを申請したのもこういう事情があるのです。