「オレンジリボン運動」を知っていますか? マークの由来と込められた思いとは?

Mocosuku Woman 2015年4月2日

警察から児童相談所に寄せられる、児童虐待の疑いのある子供は、年々増加しています。2014年は2万8923人に上り、過去最多を更新。さらに、虐待によって命を落とす子供の数は年間約50人、つまり1週間におよそ1人いる、という計算になるのです。
もちろんそのような事態になる前に、児童相談所で相談や支援を受けられる親もいます。ですが、この「気づき」は、なかなか本人だけでできることではなく、行政や家族、友人、社会の手助けが必要となってきています。

「子ども虐待のない社会の実現」を目指す市民運動
2004年、栃木県小山市で3歳と4歳になる2人の兄弟が、父親の友人から再三にわたって暴行を受け、翌日未明に息も絶え絶えの状態で、橋の上から川に投げ込まれて命を奪われる、という痛ましい事件が起こりました。犯人と父親の覚せい剤使用も絡んだ事件ですが、暴行の事実を隠そうとしてのむごいてん末です。

この事件の翌2005年、栃木県小山市の「カンガルーOYAMA」という団体が、2度とこのような事件が起こらないように、という願いを込めて、子ども虐待防止を目指して、このオレンジリボン運動を始めました。さらに、NPO法人「里親子支援のアン基金プロジェクト」が協力し、大きく育てました。
そして2006年からは、「このような事件が決して起きてはならない」という願いを込めて、児童虐待防止全国ネットワークが総合窓口を担い、全国的にその活動を広げようと動いているのです。

なぜオレンジになったの?その由来は?
リボンがオレンジ色となったのは、里親家庭で育った子どもたちが「明るい未来を示す色」として選んだ、といわれています。胸の中に、オレンジフルーツのような明るさと暖かさを感じたい、という思いがあったのではないか、ということです。

また、児童虐待防止全国ネットワークでは、「子ども虐待のない世界を目指す」という志のもとに、全国で共通したシンボルとするため、目指すべき目標(オレンジリボン憲章)を定めています。

<オレンジリボン憲章>
私たちは、子どもの成長と発達を支援することが社会全体の責任であることを自覚して、次のとおり行動します。

1.私たちは、子どものいのちと心を守ります。
2.私たちは、家族の子育てを支援します。
3.私たちは、里親と施設の子育てを支援します。
4.私たちは、地域の連帯を広げます。

直接的な支援の広がりへとつながる第一歩
オレンジリボン運動は、直接的な児童虐待防止の活動ではありません。
しかし、より多くの人が、このオレンジ色を胸に灯し、子育て中の親子の心を包み込むことは、「子どもの虐待のない社会を目指そう」という意識を社会全体に浸透させることとなり、国や自治体に対する大きな働きかけにもなるでしょう。

「オレンジリボン運動」は、スポーツ選手や歌手、俳優など、角界の著名人もメッセージを寄せて、応援しています。
「オレンジリボン運動」のシンポジウムやフォーラム、関連情報は、下記のホームページからどうぞ。

特定非営利活動法人 児童虐待防止全国ネットワーク
http://www.orangeribbon.jp
子ども虐待防止「オレンジリボン運動」
オレンジリボンマークは、児童虐待防止全国ネットワークにて商標登録をしています。

女の子だけじゃなかった。 男の子でも児童ポルノに!

シェアしたくなる法律相談所 2015年4月1日

「児童買春・児童ポルノ禁止法」ってどんな法律?
平成11年、「児童買春、児童ポルノにかかる行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が制定されました。
いわゆる「児童買春・児童ポルノ禁止法」では、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性を考え、また、児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童ポルノが規制されるとともに、これらにより心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を定めています。

セックス男女
刑法のわいせつ物規制との違いは?
ポルノについては、刑法上も、わいせつ物頒布等の罪として規制がされています。
刑法のわいせつ物頒布等の罪と児童ポルノ規制は、刑法上のわいせつ物に該当しない場合でも児童ポルノ規制上の児童ポルノに該当することがある点、刑法上のわいせつ物頒布等の罪を社会の善良な性風俗を保護する目的で制定されているのに対して、児童ポルノ規制は児童の心身の保護を目的としている点で異なっています。

規制の対象となる児童ポルノはどんなもの?
児童ポルノとは、「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」と定義されます。ここで、「児童」とは、18歳に満たない者をいいます。性別は問いません。
児童ポルノは、その制作の過程で児童に対する搾取や虐待が行われているという点で、憲法上の表現の自由という観点から正当化することはできません。
しかし、児童ポルノ規制には、ここで紹介した類型以外にもいくつかの類型が定められており、成人ポルノのように、表現の自由との関係が問題となることもあります。
児童ポルノ規制にあたっては、「学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由に不当に侵害しないように留意」することが明記されています。

児童ポルノを所持しているだけでも処罰の対象となる
平成26年、児童買春・児童ポルノ禁止法が改正され、法令の名称も、「児童買春、児童ポルノにかかる行為等の規制及び処罰並びに児童の保護に関する法律」に変更されました。
平成26年の改正の中で、もっとも大きな変更点は、児童ポルノの単純所持(ダウンロードして保存している場合を含みます。)が規制されたことです。
つまり、正当な事由なく、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを明らかに自己の意思に基づいて所持すると認められる場合は、それだけで処罰の対象となることになったのです。児童ポルノ単純所持により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります。
児童ポルノ規制に関しては、今後も議論の蓄積が望まれる論点がたくさんあります。
例えば、児童ポルノに興奮を覚える者が社会の一部の人間であるとすれば、何をもって「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であると判断されるのか、また、一方で、その判断基準を厳しくしてしまうと、被害児童の保護の措置を図るという要請を満たすことができるのか、などといった問題です。
今後も、表現の自由や児童の心身の保護、国際的動向等、あらゆる観点からこの法律を再考してみる必要があるでしょう。

ストーカー・DVなどの対策本部を拡充 警視庁

日本経済新聞 2015年4月2日

警視庁は1日、ストーカー、ドメスティックバイオレンス(DV)、児童虐待などの相談対応や事件捜査に一元的に対処する「人身安全関連事案総合対策本部」を拡充し、新設した専従の副本部長ポストに元捜査1課長の龍一文警視正が就任した。
女性や子供への性犯罪を担当する生活安全部の「子ども・女性安全対策班」(通称・さくらポリス)も同本部に組み入れ、人員は約50人増の170人体制となった。
2014年のストーカー被害の相談が前年の1.5倍となるなど、ストーカー・DV被害の認知件数は増加しており、高綱直良警視総監は同日の辞令交付式で「常に被害者の安全を最優先に取り組む意識が重要」と訓示した。
警視庁は13年に東京都三鷹市で起きた女子高生刺殺事件を受け、同年12月にストーカー・DV総合対策本部を設置。昨年7月に子供や高齢者に対する虐待なども含めて一元的に対処する組織になった。