パキスタンで子供3百人、性的虐待か 犯人グループ、虐待の動画を60円で販売

産経ニュース 2015年8月12日

パキスタン中部パンジャブ州の村で300人近くの子供が性的虐待を受けていた疑いが浮上し、一大スキャンダルとなっている。州政府は疑惑解明に着手したが、捜査に消極的だとして警察に反発する声も上がっている。
8日付英字紙ネーションは「パキスタン史上最大の児童虐待スキャンダル」として疑惑を報じた。2006年ごろから昨年まで行われ、14歳未満の子供を中心に少なくとも280人が性行為を強要されるなどの被害に遭ったとされる。
犯行グループは虐待の様子を動画で撮影して50パキスタンルピー(約60円)で販売していたほか、映像を元に被害者や家族をゆすり、多額の金を脅し取っていたという。AP通信によると、地元警察はこれまでに容疑者11人を逮捕、映像の一部を押収した。一方、警察幹部は被害規模について把握していないと説明。被害者の弁護士は、警察が事件を矮小(わいしょう)化していると批判を強めている。(共同)

実はこんなに便利!もうすぐ始まる「マイナンバー制度」子育てママが活用できる3つの場面

It Mama 2015年8月11日

いよいよ2016年から導入されるマイナンバー制度ですが、「いったい何が変わるの?」とこの制度の内容がよく分からないと感じている人は多いと思います。
この制度、実は子育てママにとっては煩雑だった行政手続きが簡単になるとても便利な制度なのです。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの筆者が、マイナンバー制度の概要と具体的な利用場面についてお話します。

どんな制度なの?
マイナンバーの正式名称は『社会保障と税の共通番号』といい、まずは税と社会保障、災害対策の分野で利用されます。
2015年10月から12ケタの個人番号の通知カードが自治体から届き始めますが、それがそのまま個人の身分証明書として使えるわけではありません。
2016年1月以降、この通知カードを持って自治体に申請することで、顔写真入りの“個人番号カード”を無料で受け取ることができます。この“個人番号カード”が様々な場面で個人を特定する証明となり、今までわずらわしかった行政サービスをスムーズに受けることが出来ることになるのです。

子育てママが「個人番号カード」を使える3つのシーンとは
マイナンバー制度が導入されると、行政手続きや税金の申告などの様々な場面で手続きが簡単に済むといわれています。子育てママの具体的な利用場面は以下のようなものが考えられます。
(1)児童手当の現況届
毎年6月頃に自治体から届く児童手当の現況届。そのたびに健康保険証のコピーの添付が必要ですし、場合によっては所得証明や住民票が必要なこともありました。マイナンバー制度導入後は行政機関が相互に情報をやり取りして確認するため、添付書類が不要になる予定です。2017年から利用できるとされています。
(2)確定申告時の医療費控除
医療費控除のため確定申告を行う場合、医療機関を受診した際の領収書の提出を無くす方向なので、面倒な確定申告が簡単になります。2017年夏をメドに導入の予定ですが、導入されれば医療費控除の利用者が大幅に増えそうです。ただし、購入した市販薬や通院のためのタクシー料金などは従来通り領収書の提出が必要です。
(3)保育園の申込み
現在、保育所への申し込みには勤務証明書や各種の申込書など複数の必要関係書類をそろえて、地方自治体の窓口に提出しなければなりません。政府は2017年に始まるマイナンバーの個人用サイト『マイナポータル』から、一括で手続きできるよう検討しているとのことです。

いかがでしたか?
個人情報がきちんと管理されるのか?情報が流出しないの?という不安もありますが、政府が社会インフラとして整備しようとしている制度です。
勤務先や利用している生命保険会社などからマイナンバーの提示が求められる場合もあります。きちんと内容を理解したうえで利用し、うまく活用していきたいですね。

戦争は「国民的トラウマ」

田中俊英 2015年8月10日

■戦争=国民的トラウマ

理想的平和主義の根っこは、やはり日本の人々に深く刻まれたトラウマ(心的外傷)だと思う。
原爆に大空襲に特攻に虐殺に性暴力に南方諸島飢餓と、加害被害合わせてそれらはあまりに悲惨だった。
それらの「応答責任」としての語り継がれは、国民的トラウマを形成したのだと思う。それは「身体レベル」での問いだ。
これに対して、「理性レベル」でいくら集団的自衛権の合理性を説いても、それは身体レベルには届かない。
「戦争」は100年前にフロイトが語ったように、ここでもPTSDの一大原因となっている(他に、性暴力・児童虐待・自然災害がある)。それも、「国民的PTSD」の原因として。
集団的自衛権派が真剣であれば、まずはこの国民的PTSDを「治療」すべきだ。
この70年は、治療に代わる妥協点として、個別的自衛権(そして「片務条約」あるいは日本が後方支援のみの日米安保条約)が静かに存在した。このままでは時代にそぐわないと真剣に集団的自衛権派が思うのであれば、まずは国民の過半数をセラピーする必要がある。

『はだしのゲン』体験
そして、当事者責任や応答責任としての語り継ぎは、当事者が生存中は行なわれる。
この再生産は我々に刻み付けられた「国民的トラウマ」(それはトラウマではあるがポジティブ)を常にバージョンアップさせ、その結果として理想的平和主義が発動し続けている。
繰り返しになるが、これに、国際情勢を吟味した上での現実的で保守的な一つの防衛策(集団的自衛権に基づいた平和主義)を提示しても、トラウマレベルには届かない。
トラウマ=心的外傷とは、被爆者が75才になっても5才時のエピソードを生々しく語るように、リアルなフラッシュバックを伴うからだ。
被曝のような直接的フラッシュバックがなくとも、たとえば僕であれば、小学生の頃にリアルタイムで読んだ『はだしのゲン』体験がある。
あの被爆描写と、最終回のゲンの笑顔は一生忘れられない。戦争忌避の深いレベルでの刻みつけ(心的外傷レベルでの)は、各自このような体験として持つ。
保守派はここを押さえないと、永久に議論の平行線が続くだろう。
一方で、理想的平和主義派は、当事者がほぼ全員没する20年後以降の応答責任をどう作っていくか。
当事者の語りが消える20年後に、集団的自衛権は完全発動するという悲観的観測を僕は持っている。その対抗を僕(ら)は考えよう。★

「妊娠SOS窓口」がつないできた“命のバトン”

北条かや 2015年8月12日

「最も幼い妊婦さんは、小学校5年生でした」
「相談者のうち、20代が45%を占めていますが、10代も20%。職業別では、学生さんが26%と4人に1人、無職の方が36%です。最も幼い妊婦さんは、小学校5年生でした……」

会場が息を呑む。

「24時間体制で受け付けている相談のうち、内容の最多は『妊娠に関する相談』ですが、次に多いのは『思いがけない妊娠』で、3割に達しています。その内訳で最も多いのは『未婚の妊娠』、相手の男性が逃げてしまった、1人で育てる自信がない、というものです。次に多いのが『若年妊娠』――私たちは18歳以下の妊娠を、そう呼んでいます。『暴力・強姦』で子どもができてしまった、どうしよう、という相談もあります。レイプや近親(相姦)によって妊娠してしまい、全国から電話をかけてくる女性たちも、沢山います」(田尻さん)

「いらない子だったから」子どもを“遺棄した母親”へのバッシング
7月下旬、愛媛県で乳児と見られる5遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された30代の母親は、乳児を遺棄した理由について「いらない子だったから」という趣旨の供述をしているという(毎日新聞2015年7月21日報道より)。この事件はネットでも大きく報じられ、母親の大きなお腹について保健師が尋ねても、「太っているだけ」と答えたなど、「妊娠そのものを否定していた」とみられることが、多くの人々に衝撃を与えた。ネットでは「常人には理解不能」などの反応が相次ぎ、容疑者の母親を一方的に攻撃するようなコメントもあった。
だがこの事件、私は決して他人ごととは思えない。以前、水商売の女性たちを取材していた際、20歳前後で初産をした女の子がいた。彼女はごく普通の、コミュニケーション能力に長けた可愛らしい性格の子だったが、何気ない会話中にふと、「子ども、産まなければ良かった」と、漏らしたのである。彼女はおそらく、貧しかった。たとえ「母性本能」があったとしても、貧困や自身の生育環境から、「この子さえいなければ」と、思ってしまう母親はいるのではないか。母親の人格だけを責めればいい問題ではない。そんな思いが、ずっとくすぶっていた。

「こうのとりのゆりかご(通称”赤ちゃんポスト”)」元関係者、女性たちの「妊娠前からのSOSに対応すべき」
こうした経験から、縁あって「こうのとりのゆりかご(通称”赤ちゃんポスト”)」で有名な慈恵病院(熊本県)で、看護部長を務めていた田尻由貴子さん(※1) を取材させていただく機会が多い。今回は15年7月22日、アジア太平洋エリアから、助産師や看護師たちが集まる大規模なサミット(第11回ICMアジア太平洋地域会議・助産学術集会)で、彼女が講師を務めるというので参加してきた。

正午に開演する会場には、長蛇の列。アジアや太平洋地域から、多くの助産師さんが集まってきている。田尻さんの講演は英語で同時通訳された。セミナーの目的は、「日本でも未だに、虐待死の半数が『生まれたばかりの赤ちゃん』であること、危険で孤独な自宅出産や、飛び込み分娩がなくならない現実とその背景を知ってもらうこと」。そして、日々多くの妊婦と接する助産師さんたちに、「社会的に困窮した女性たちの妊娠」の心の中で、何が起こっているのかを知ってもらうことも重要な目的だ。分娩の専門知識をもった助産師たちといえども、「思いがけない妊娠」をした女性の、心のケアまでこなせている人は、意外に少ない。
※1 田尻さんは現在、慈恵病院の現場からは離れ、一般社団法人スタディライフ熊本特別顧問・慈恵病院の相談役を務めている。

日本では毎年「2000人」の赤ちゃんが「乳児院」に入所している
田尻さんの講演内容の前に、日本の社会的養護をめぐる状況を簡単に説明しよう。先進諸国と比べて、日本では親に恵まれない子どもたちが「施設」で育つ割合が圧倒的に高い。国連「子どもの権利条約」では、「全ての子どもは家庭環境の下で成長すべきである」と定め、日本もそれに賛同しているのだが、産みの親のもとで育つことのできない子ども4万人のうち、9割近くが「児童養護施設」などで暮らしている。毎年約2000人の乳幼児(0~3歳まで)が、乳児院に入所しているのだ。
もちろん「児童養護施設」が一概に悪いともいえないし、日本の施設は(かつての東欧諸国などと比べれば)かなり整ってはいる。ただ、赤ちゃんの心身が最も発達する0~3歳期に、「保護者との1対1の関係」が与えられないと、赤ちゃんの脳には著しい「発達の遅れ」が見られる……という研究は、社会的養護に関わる人たちの間では、常識になりつつある。「産みの親」でなくてもいいから、できるだけ早く、養子縁組や里親制度で、養育者との1対1の関係を築くことが、赤ちゃんの発達には不可欠なのだ。

思わぬ妊娠に悩む女性に対し、責めては絶対にダメ。
前置きが長くなった。田尻さんの講演が始まる。長年、「こうのとりのゆりかご(通称”赤ちゃんポスト”)」に関わってきた具体例に富む彼女の話を聴き、中には、思わず涙を漏らす助産師さんもいた。現状では、「望まない妊娠」をした女性は、人工妊娠中絶を選ぶことが多い。産もうと決めた女性でも、相手の男性が逃げてしまったり、年齢の若さや経済的、心理的な事情から育てる自信がなかったりして、妊娠自体から目を背け、飛び込み分娩や自宅出産を選ぶケースも多くある。

田尻さんによると、こうした状況を受け、11年には厚労省が「妊娠期からの妊娠・出産・子育て等に係る相談体制等の整備について」という通達を出した。これがきっかけとなり、今では全国20以上の自治体で、医師会が助産師会などに委託し、「妊娠相談SOS」窓口を設置する動きが進んでいる(田尻さんに言わせれば、まだまだ「少ない」とのことではあるが……)。
ともあれ、全国に広がる「妊娠SOS窓口」の先駆けとして、若い女性たちの相談を受けてきたのが慈恵病院(熊本県)だ。14年度までの8年間で、慈恵病院に寄せられた9000件以上の相談のうち、熊本県からの相談はわずか17%。ほとんどが首都圏、大阪など、都市部からの相談だ。
冒頭で紹介したような現実に対し、まだまだ全国の「妊娠SOS」窓口は対応しきれていない。24時間体制で運営している自治体はほとんどなく、ネットで検索して、ようやく慈恵病院の電話相談にたどり着く女性が多いのだという。「絶対に、住んでいる場所や名前は言いたくない」と、匿名を固持しようとする女性も多い。背景には、これまで「誰にも打ち明けられなかった」「誰も気づいてくれなかった」という深い孤独がある。そんな女性たちも、粘り強くカウンセリングを行うことで、徐々に心を開いてくれるケースがあるそうだ。田尻さんたちが、話を聞く際に重視しているのは次のようなことである。

“(1)思わぬ妊娠に悩む女性に対し、責めては絶対にダメ。「どうしたの?」と聴くだけでも、傷ついてしまう女性たちは沢山いる。そんな女性たちにはまず、お腹の赤ちゃんと2人だけで、孤独を抱えながら相談してきてくれたことに対し、「よく相談してくれたね、ありがとう、頑張ったね」と声をかける。相手の話を傾聴する。
(2)その上で、悩みを聴き、共感し、親身になって寄り添う。そうしていると、最初は「誰も信じられない、受け入れてもらえないだろう」と頑なだった女性も、徐々に自分のことを詳しく話してくれるようになる。”

想定外の妊娠をしてしまい、「誰にも言えない」と孤独を深める、若い女性たち。田尻さんが関わったケースでは、ある女子大生が、当初は「自宅で1人で産みます。(家族や相手にバレたくないから)病院には絶対に行きたくない」と言っていたが、最終的には慈恵病院を通じて、育ててくれる親に赤ちゃんを託す「特別養子縁組」を選んだ、ということもあったそうだ。
彼女は最初、特別養子縁組という選択肢を知らなかった。もし、そのまま1人で産み、誰のサポートも受けずに育ててしたら……万が一の可能性だが、虐待等に繋がっていたかもしれない。「1人で産む」と言い張る彼女に対し、田尻さんたちは何度も話を聞いた。結果、その女子大生は「きちんと病院を受診し、特別養子縁組で命のバトンをつなぐ」ことを選んだという。
はじめは「産みたいけど、『こうのとりのゆりかご(通称”赤ちゃんポスト”)』に預けたい」「育てる自信がないから中絶したい」「養子に出したい」という葛藤の中にいた女性たちも、カウンセリングの中で、徐々に多様な選択肢があることを知る。その結果、「自分で育てよう」と決意する女性もいれば、特別養子縁組を選ぶケースもある。こうして救われた命は、9年間で600件近い(慈恵病院、平成19年度~26年度の件数)。

人工妊娠中絶は年間約20万件、「手術はいつにしますか」淡々と進む医療現場
日本は「人工妊娠中絶」に寛容な国だ。厚労省のデータによれば、平成 25年度の人工妊娠中絶件数は 18万6253 件で、前年度に比べ5.3%減少したものの、毎年20万人近い命が「経済的事情」などの名目で失われている。「20 歳未満」の中絶では、「19歳」が6764件と最も多く、次いで「18歳」が4807件となっている。
「産む・産まないを女性が選ぶ自由」は、60年代後半以降のウーマン・リブが勝ち取ってきた、女性たちの「権利」だ。当時は男性の主権が今よりもずっと強く、「夫婦間で避妊を拒むことは、ほとんどできない」「ピルなど、女性主体の避妊手段がない」などの現実があったことは、何度強調しても足りない。が、今はまた少し、状況が変わってきている。
平均初婚年齢の上昇により、子どもをもちたいと「不妊治療」を続ける女性(男性)がいながら、「中絶」を選ぶ女性が年間20万人もいるという現実。田尻さんの後に登壇した、日本財団の特別養子縁組事業企画コーディネーター、赤尾さく美さん(助産師)は、次のように語った。
医療現場では、「中絶したい」という患者さんを前にして、「じゃあ(手術は)いつにしますか」と、 カレンダーに目をやる状況もあったのです。…そういう医療関係者は、本当に多い。でも、もしかしたら中には「本当は産みたいけれど、どうすればいいか分からない、自信がない」という女性もいるかもしれない。
本来なら、保健室の先生から助産師、看護師、医師たちまで、医療に携わる人であれば全員が、「妊娠相談窓口」としての機能を果たすべきなんです。そうすれば、特別養子縁組や、里親制度などで「命」をつなぐこともできます。

助産師である彼女の言葉は、胸を打つ。そうなのだ。保健室の先生から医師まで、もっと多くの医療関係者が「妊娠SOS窓口」としての知識をもっていれば、望まない妊娠による中絶や虐待、赤 ちゃんの遺棄、 貧困の連鎖は防げるかもしれない。理想論だろうか。しかし、「妊娠相談窓口」のリアルな現状と、カウンセリングの過程で孤独だった女性たちが安堵していく、救われていく様子について知れば知るほど、「思わぬ妊娠をした女性たちの声に耳を傾けること」の重要性が感じられてならない。
女性の人権と、子どもの生存権を守るには、そういう地道な積み重ねが必要ではないか。個人的なことではあるが、私はまだ、自分が子どもを産むことが想像できない。それでも、女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖にかかわる全ての権利)と現場の声を届けていくことはできるし、そうすることに最近、使命を感じている。