「うちの子は大丈夫」は通用しない…難民化する背景とは

産経新聞 2015年3月26日

【話の肖像画】女子高校生サポートセンターColabo代表・仁藤夢乃さん
〈政府の統計によると、平成25年度の高校中退者数は年間約6万人。不登校者は中学校で年間約9万5千人、高校で約5万6千人いる。26年の未成年の自殺者数は年間483人。難民高校生となりうる若者は生まれ続けている〉
子供たちが家庭や学校とのつながりが切れ、難民化する理由はさまざまです。貧困、家庭不和、病気、いじめ…。ただ、非行は大人が先にやっているケースが多い気がします。例えば、両親が刑務所から出てきたためにそれまで暮らしていた児童養護施設を出て同居することになった少女は、父親に学校を辞めさせられて夜の仕事をさせられ、性的虐待まで受けた。JK(女子高生)ビジネスに携わる少女たちの行動ばかりを見がちですが、背景に介入していかなければいけないと思います。
逆に、家庭や学校で特に問題もなく、将来の夢もあるような普通の女子高生もJKビジネスの現場で働いています。「うちの子には関係ない」「うちの生徒は大丈夫」は通用しません。街だけでなく、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でも知り合ってしまいます。インターネットに放たれた子供たちの声を検索している大人がいて、巧みに声をかけてくる。SNSのコミュニティーに子供を装って入ってくる大人もいます。
〈Colaboへ駆け込むのは少女だけではない。裏社会に利用された少年たちもいる〉
少年の場合も、私たちの支援の網にかかる前に、危険な労働をしてきています。いずれも“使い捨て”です。いわゆる「振り込め詐欺」の受け子(現金回収係)や、「保険証を5つひったくってくると30万円」という仕事をしていた少年もいました。雇い主はこの保険証で携帯電話を契約し、JKビジネスの少女の売春斡旋(あっせん)のために使っています。工事現場で資格もないのに重機を扱わせたりもします。雇用契約も健康保険もなく、けがをしても何もしてくれない。本人もどうしたらいいかわからない。周囲の大人たちは、おかしいと気づいているのに声をあげない。最近は難民化した少年たちが少女を利用するような構図もみられます。
〈著書「女子高生の裏社会」では、女子高生31人のインタビューを通じ、子供たちにいま何が起きているかを描写した〉
裏社会のベルトコンベヤーに乗って違法な水商売や風俗業界に行ってしまう子もいれば、性被害にあったり、望まない妊娠をしたりする子もいます。インタビューをして分かったのは、彼女たちは「変わりたい」と願っているということ。でも、自分に自信がないので変われない。背中を押してあげる大人がいないといけない。大人が諦めないことが大事です。両親や教師が諦めたのを子供たちは敏感に察知し、さらに自暴自棄になっていきますから。(聞き手 池田証志)

<虐待通告>最多2万8923人…関心高まり通報増・14年

毎日新聞 2015年3月26日

警察庁は26日、虐待を受けている疑いがあるとして全国の警察が昨年、児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもが前年比34%増の2万8923人に上り、最多を更新したと発表した。傷害などの容疑で立件されたのは698件719人、事件の被害者となった子どもは708人で、いずれも過去最多。社会的関心の高まりで通報が増え、積極的な事件化を目指す方針が影響したとみられる。

【安否確認の仕組みは?】所在不明の子、全国141人
同庁によると、通告種類別では、暴言を投げつける心理的虐待が1万7158人(前年比39%増)で、全体のほぼ6割。うち、子どもが目の前で家族によるDV(ドメスティックバイオレンス)を目撃する「面前DV」が1万1669人(同45%増)に上った。
ほかには、殴るなどの身体的虐待7690人(同25%増)▽食事を与えないなどのネグレクト(怠慢・拒否)3898人(同32%増)▽性的虐待177人(同19%増)--だった。
摘発事件の被害者の内訳は、男子299人、女子409人。性的虐待は被害者の97%が女子だった。子どもの側から見た加害者との関係は、多い順に、実父298人▽実母158人▽養父・継父149人--など。被害者の年齢は14歳が最多で76人、16歳60人▽15歳59人--と続き、1歳未満も51人に上った。被害者のうち20人が死亡していた。【長谷川豊】

夜回り先生、いじめられたら大騒ぎしろ!中学生に熱いメッセージ

シネマトゥデイ 2015年3月26日

宮部みゆきの傑作ミステリー小説を2部作で映画化したヒューマンミステリー超大作の後編『ソロモンの偽証 後篇・裁判』の中学生限定春休み特別試写会が26日、新宿ピカデリーで行われ、“夜回り先生”こと児童福祉運動家の水谷修が成島出監督と出席。会場に集まった中学生を前にイジメの対処法などについて持論を展開した。
ある中学校で起きた不可解な生徒死亡事件と、その真相を暴こうとする女子生徒が開く学校内裁判の行方を追い掛ける本作。劇中では、いじめの問題も取り上げられており、登壇した水谷は、客席の中学生に向け「僕も中学時代はいじめがつらかった」と告白した。
「中学1年生のときは1970年代。先生がまだ生徒を殴って叱っていた時代。校内にも暴れている連中が多かった」と水谷。あるとき、いじめを注意しない先生にたてついたところ、逆切れされて体罰を振るわれ、それ以後学校に行かなくなったと述懐。そんな水谷を救ったのは剣道だったといい、「剣道は強かった。心のよりどころだった。それがなかったらいじめの中でつぶされていたかもしれない」としみじみ振り返った。

夜回り先生、いじめられたら大騒ぎしろ!中学生に熱いメッセージ
水谷はその後、「いじめられたときは我慢しちゃダメ」と中学生にゲキ。「いじめがあったら大騒ぎしなさい。親に相談する、先生に相談する。校長先生のところに泣きついて相談する。最近の状況だと必ず大人たちが動いて解決してくれる」と持論を展開し、「我慢すると必ずそれが君たちの重荷となって一生背負わされることになる。その場で解決することが大切」といじめの対処法を伝授。「自分で大騒ぎするのが嫌だったら、僕に相談してくれればいい。僕が大騒ぎして、教育委員会にも文部科学省にも電話してあげます」と熱弁をふるった。(取材・文:名鹿祥史)

「小4の壁」解消へ 学童保育が小学生全学年の児童対象に

フジテレビ系(FNN) 2015年3月25日

2015年も、4月からさまざまな制度が変わるが、今回働くママの強い味方「子育て支援制度」が大きく変わる。これまで放課後の小学生を預かる学童保育は、小学1年生から3年生までが対象で、4年生になると預けることができなくなり、ママたちの社会進出を阻んでいた。このいわゆる「小4の壁」が、4月で取り払われることになった。

放課後の待ちに待ったおやつの時間。
東京・東大和市の学童保育所第十クラブでは、両親が共働きや1人親の家庭の小学生が放課後を過ごしている。
小学1年生から3年生までの児童が、漫画を読んだりトランプをしたり、思い思いに過ごしている。
学童保育に預けられる児童は、原則として3年生以下の低学年だったが、4月から新しい子ども・子育て支援制度がスタートする。
小学生全学年の児童を預けることができるようになった。
これで、いわゆる「小4の壁」は解消されることになる。
学童保育所では、新年度から高学年の受け入れを始めるということで、小さいサイズのいすだけでなく、今後は大きいものも導入していくという。
1年生の子を持つ母親は「本人たちとしては、4年生にもなれば、自分でできるとは言っているが、ちょっと心配な点もあるので、助かります」と語った。
1年生と3年生の子を持つ母親は「いざ、自分の子が4年生になるというと、選択肢が広がったのかなと思うと、やっぱり助かります」と語った。
3年生の児童は「どんな感じになるか楽しみ。いろいろ下の子のお世話とかをしたい」と語った。
新制度に期待の声が高まる一方、学童保育に入りたくても入ることのできない待機児童が問題視されている。
女性の社会進出が進むと同時に、待機児童の数も増加傾向で、2014年は、およそ1万人に及んでいる。
新制度では、2019年度末までに、およそ30万人分の受け皿を確保することで、待機児童の問題を解消するとしている。
こうした中、東大和市の田中 馨学童指導員からは「やはり、思春期に差しかかる、心と体が大きく成長していく中ですので、言葉がけの配慮とか、女の子の体の変化に、細かく対応しなくちゃいけないことと。そのあたりが、やはり不安に感じます」と語った。
現場の指導員から上がる不安の声。
新制度では、受け入れる子どもたちの年齢も高くなる分、指導力がさらに問われている。
キッズコンサルタント協会の野上美希代表理事は「(学童指導員は)非常勤が8割を超えるような職種というかたちで、子どもと、どう関わっていけばいいか、わからない方が対応するということに、国としても、問題点があると感じていたのではないかなと思っています」と語った。
これまで、学童指導員に特別資格は必要なかったが、4月からは、保育士や社会福祉士の資格を持つ職員を、1施設につき、2人以上配置することが基準とされ、自治体が、これをもとに配置を行う。
大きく変わろうとしている学童保育。
新制度について、フジテレビ厚生労働省担当の土門 健太郎記者は「今回、国が基準を示しましたけれども、 最終的には、市町村が条例を制定しますので、市町村によっては、基準にバラつきが出てくるという懸念があります」と語った。