特別養子縁組仲介、滋賀でも 彦根で30日から

中日新聞 2014年1月28日

 彦根市の産婦人科医院「神野レディスクリニック」が、三十日から県内で初めて、特別養子縁組の仲介事業を始める。乳児院を経ずに養親と養子を結び付けるのが特徴。産まれる子を育てるのが難しい妊婦を支えると同時に、子どもを望み不妊治療する患者へ特別養子縁組を一つの方法として紹介していく。
 産まれてくる赤ちゃんを早い段階で愛情深い養親に引き渡す仕組みをと、埼玉県熊谷市の産婦人科医院が呼び掛け、全国二十の医療施設が昨年九月、「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」を設立。神野レディスクリニックも名を連ねた。特別養子縁組仲介事業にあたる「第二種社会福祉事業」を県に届け、受理されている。事業は医療の一環として無償で進める。
 特別養子縁組は、家庭に恵まれない子の福祉を図る目的で設けた制度。一般的な養子縁組と違い、養子は戸籍上は養親と親子になり、実親との親子関係はなくなる。養子は六歳未満の制限がある。
 養親希望者は、児童相談所の里親登録を受けた上で同クリニックへ申し込む。同協議会の選考基準に照らして医師、助産師、弁護士らでつくる審議委員会で審査を受ける。養子縁組のマッチングは、呼び掛け人となった埼玉県熊谷市の医院に置く協議会本部で行う。
 同クリニックの宮川美奈子看護師長は「新生児の段階で養親に引き渡せば、養親と養子双方の愛着形成が望める」と強調。「まずはこういう制度があることを、子を望む患者らに知らせていきたい」と話している。
 事業開始後の問い合わせは神野レディスクリニック=フリーダイヤル(0120)038414=へ。
 (辻井勇太)

子供の権利 甘やかさない教育必要だ

MSN産経ニュース 2014年1月26日

 「子供の権利」を誤解した条例づくりが依然として後を絶たない。
 長野県が「子ども支援条例(仮称)」の制定作業を進めているが、甘えやわがままを助長する内容にしてはならない。
 子供の権利が強調されるようになったのは、20年前の平成6年に、日本が国連の「児童の権利条約」を批准したことがきっかけだ。12年に川崎市が「子どもの権利に関する条例」を制定するなど、各地の自治体で同種の条例がつくられた。
 国連条約の本来の目的は、子供を飢えや病気、虐待などから保護することだ。しかし、自治体の条例では、子供の「意見表明権」といったものまで加わり、権利をはき違えたわがままを許す風潮が問題になってきた。
 例えば親が子供部屋に入ると、「プライバシー侵害」だと子供が文句を言う。国連の委員会の場で日本の高校生が、制服を義務づける校則に反対して「意見表明権」を持ち出し、海外の委員から「制服もない国の子に比べ幸せ」などとたしなめられた例もある。
 また高知県では、条例の審議過程で「休む・遊ぶ」権利が批判を浴び、削除された。子供に媚(こ)びる前に、教えるべきことを教えなければならない。
 最近も、いじめや児童虐待などが相次ぐ中で、子供のための条例を検討する自治体がある。
 長野県で検討されている条例の骨子案では、保護者が教育に責任を持つことや、子供に規範意識を身につけさせることが盛り込まれ、過度に子供の権利を強調しない内容にはなっている。
 しかし、その趣旨は条例名にあるように、子供の「支援」を内容としており、誤解を懸念する専門家もいる。子供の顔色をみるばかりで、厳しい指導ができないというようでは困る。慎重に検討してもらいたい。
 滋賀県で開かれている日教組の教研集会では、委員長あいさつで「子供の権利としての教育ではなく、国家の意思としての教育が前面に出ようとしている」などと言及された。規律や公共心育成などを重視した安倍晋三政権の教育再生の取り組みを暗に批判したものとみられる。
 しかし、わがままを正せない親や教師の教育こそ見直してもらいたい。だめなことはだめとしっかり教えたい。

児童養護施設の職員は性的な自制心をどれだけ保てるか

夕刊ガジェット通信 2013年05月22日

 児童養護施設で、入所している児童への職員による性的な行為や虐待が、次々と明るみに出ている。「明るみに出ている」と書いたのは、新聞で報道されるのは一部の情報であり、実際には似たようなことが無数に起きていることが予想されるからだ。
 まず、「養護施設の高校生2人と性行為 女性職員を免職、大阪」(共同通信、2013年5月17日付)という記事によると、大阪の゛民間養護関係施設の20代の女性非常勤職員が、入所者の男子高校生2人と性的な行為をしていた」と大阪府が発表した。
 続いて、「県内養護施設で性的虐待」(東奥日報、5月21日付)によれば、「県内の児童養護施設に勤務する20代の男性職員」が、「施設に入所している複数の10代女子児童に対し、施設内で勤務中に性的虐待行為を繰り返していた」ことが、青森県への取材で分かった。
 児童養護施設といっても、中高生も入所しており、職員の男性や女性にしてみれば、中高生を性的な対象として見てしまうことは大いにあり得る。児童と職員は、日常生活の多くの時間を共有することから、互いに好意を持ってしまうことだってある。
 ちなみに、筆者は小学6年から高校卒業まで児童養護施設に入所していた。職員が個室を与えられ、泊まり込むタイプの施設だったので、入所していた高校男子の中には女性職員の部屋に入り浸り、性行為をしていた者が何人もいた。筆者は、興味津々に遠目から「いいのかな?」と思って見ていたが……。
 いま振り返ってみれば、一方的であろうが合意していようが、児童の方は未成年なのである。職員が性的な対象として見ることも、性的な虐待を行うことも、だめに決まっている。そして、職員の性的な自制心が試されるのは、児童養護施設だけではない。
 児童が寝泊まりするタイプの施設のみならず、未成年が通う学校と呼ばれている全ての施設で、職員の性的な自制心が試されていると筆者は思う。他方、自制心のない職員による児童への性的虐待や、職員と児童との性行為は、いまもどこかで行われているとも思う。
(谷川 茂)

施設職員や里親等による虐待に気づいたら

相模原市公式ホームページより

 児童虐待やその他の事情により家庭で生活することができない子どもたちは、児童養護施設等や里親のもとから学校や幼稚園に通うなど、地域で生活していくことになります。
 本来、こうした施設や里親家庭は、子どもたちが安心して生活できる場所でなければなりません。しかし、施設職員や里親等が、養育している子どもを虐待するということがおきています。このため、施設職員や里親等による虐待、いわゆる「被措置児童等虐待」を防止するための仕組みが、新たに規定されました。
 被措置児童等虐待を受けている子どもに気付いた場合や、子どもが虐待を受けていることを訴えた場合などは、子どもの安全を確保するために、すみやかに施設等を監督する役割を担う、こども青少年課または障害福祉課(障害児入所施設内での虐待の場合)や児童相談所、こども家庭相談課に通告してください。被措置児童等虐待については、こども青少年課または障害福祉課が中心となって、児童相談所等の関係機関と連携しながら対応します。